礫(䃯、れき、つぶて、こいし)は、小さい石、小石である。「礫」には様々な定義があるが(#大きさによる分類参照)、本項では特に断りのない限り、砂、ゴマ粒よりも大きく、握り拳大程度までの大きさの石について述べる。
概説
礫にはさまざまな色やきめのものがあり、石英などの鉱物の縞を持つものもある。礫はほぼ滑らかだが、他の岩石や礫との接触の頻度によっては跡のあるものもある。
土砂のような可動性堆積物によって形成された堆積物海岸は、主成分となる堆積物の種類により、礫浜(礫浜海岸)、砂浜(砂浜海岸)、泥浜(泥浜海岸)に分けられる。礫浜には波の侵食に対して表面保護特性があり、また動植物に生息環境を与える生態的地位も持つ。
礫でできた浜堤が存在する場所もあり、サフォーク(イングランド)にあるオー川(en:River Ore)の入口のように、礫の土手が移動し航行上の著しい課題となる。
大きさによる分類
堆積学に基づく分類
堆積学における礫(れき、英: gravel)とは、粒の直径が2mm以上の砕屑物のこと。砂よりも大きい。粒子が角張っている場合は、角礫(かくれき、英: rubble)という。礫が固結してできた岩石は礫岩と呼ばれる。
礫は粒子の大きさによってさらに細分されている。
- 巨礫(boulder) - 径が256mmより大きいもの。
- (cobble) - 径が64 - 256mmのもの。
- (pebble) - 径が4 - 64mmのもの。
- (granule) - 径が2 - 4mmのもの。
粒径2mm以上をひとくくりに礫とするのは、礫と砂とを分類するためであり、礫のうちでも巨礫と中礫・細礫とでは性質が大きく異なる。
- 大礫
- 中礫
(いずれも100円硬貨との比較) - 細礫
地盤工学における分類
土壌分類では、粒径2 - 75mmのものが礫に区分される。
- 石:> 75mm
- 礫:2 - 75mm
- 砂:0.075 - 2mm
- シルト:0.005 - 0.075mm
- 粘土:< 0.005mm
火山学における分類
火山学において、火山礫は直径2 - 64mmの火山砕屑物のことである。
地球外での生成
火星では礫岩が見つかっており、かつての河床で形成されたものと解釈されている。その礫岩はアメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査車キュリオシティによって発見されたものであるが、含まれる礫の大きさの範囲は砂粒程度からゴルフボール大にまで及ぶ。歩くペースで流れ、踝から腰の深さの川で堆積したと分析されている。
脚注
- ^ “礫(れき)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2023年2月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月16日閲覧。
- ^ “砂浜”. 海岸林用語集. 日本海岸林学会. 2023年4月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月16日閲覧。
- ^ “第1回 中長期的な展望に立った海岸保全検討会 参考資料9 用語の解説” (PDF). 国土交通省 (2006年12月27日). 2023年4月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月16日閲覧。
- ^ “石川の自然 第20集”. 石川県教育センター. pp. 1-2. 2021年9月23日閲覧。
- ^ “石の隙間を利用する魚たち”. 独立行政法人土木研究所自然共生研究センター. 2016年11月16日閲覧。
- ^ 2016年11月13日閲覧。 “Ore and Alde, Rivers”.
- ^ a b 文部省編『学術用語集 地学編』日本学術振興会、1984年。ISBN 4-8181-8401-2 。
- ^ 地盤工学会 (2009年11月25日). 地盤工学会基準書. ISBN 978-4-88644-083-9.
- ^ Fisher, R. (1961). “Proposed classification of volcaniclastic sediments and rocks”. Geol. Soc Amer. Bull. 72: 1409-1414.
- ^ 2016年11月19日閲覧。 “NASA Rover Finds Old Streambed on Martian Surface”. News. Jet Propulsion Laboratory / California Institute of Technology (27 September 2012).
- ^ “火星探査車が見つけた丸い小石”. アストロアーツ (2012年10月1日). 2016年11月19日閲覧。
参考文献
- 国立天文台編 編「構成粒子の径と砕セツ岩」『理科年表 平成20年』丸善、2007年、654頁。ISBN 978-4-621-07902-7 。
関連項目
- 堆積物 - 砕屑物
- 礫岩(堆積岩)
- 砂利
- 水磨礫
- 偽礫
- 礫器
- 小岩 (曖昧さ回避)
- 大石 (曖昧さ回避)
- 「礫」で始まるページの一覧
- 「小石」で始まるページの一覧
- タイトルに「礫」を含むページの一覧
外部リンク
- 産業技術総合研究所地質調査総合センター. “岩石の分類”. 地質図のホームページ. 2012年9月21日閲覧。
粒径 (mm) | 砕屑物 | 砕屑岩 | 火山砕屑物 | 火山砕屑岩 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
64 以上 | 礫 | 礫岩 | 火山岩塊 | 火山角礫岩、凝灰角礫岩 | ||
64 - 2 | 火山礫 | ラピリストーン、 | ||||
2 - 1⁄16 | 砂 | 砂岩 | 火山灰 | 凝灰岩 | ||
1⁄16 - 1⁄256 | シルト | 泥 | シルト岩 | 泥岩 | ||
1⁄256 以下 | 粘土 | 粘土岩 | ||||
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