ソース(英: sauce)は、調理において食品に添えたり調理に用いられる液状またはペースト状の調味料の総称である。ソースは単体で消費されることはなく、他の料理に風味や水分、および装飾を加える。sauce は、ラテン語で塩味のを意味する salsus を語源とするフランス語に由来する。ソースの多くは液状であるが、パスタのような料理では固形物を含む。
概要
ソースには、醤油のように調理のために購入する加工製品と、ベシャメルソースのように、通常の調理時に作るものがある。前者はガラス瓶もしくはプラスチック製のボトルやパック(弁当用などの個包装)に入れて販売される。特に、サラダ向けのソースはドレッシングと呼ばれる。
他に、食肉を調理した肉汁(フォン)が残された(ソースパン)(片手鍋)に香味(エシャロット微塵切りなど)を加えて作ったパンソースがある。香味がなじんだ後、液体(煮出し汁、ワイン、または水)を加えて鍋底のフォンを溶かす(デグラッセと呼ばれる工程)。更にバターを加えて即席ソースを作ることもできる。
ソースは世界中の料理において基本要素のひとつである。
フランス料理でのソース
フランス料理でのソースは、中世にさかのぼる。伝承された多数のソースがあった。「古典的」フランス料理(19世紀から20世紀「ヌーベルキュイジーヌ」以前)では、ソースはフランス料理の特性を主に定義するものであった。
19世紀において、シェフのアントナン・カレームが「マザーソース」4種類を定め、基準としてソースを4つに分類した。
- ソース・アルマンド sauce Allemande、卵黄とレモン汁少量をベースとする
- ソース・ベシャメル sauce béchamel、小麦粉と牛乳をベースとする
- ソース・エスパニョール sauce Espagnole、焼いた骨を含むブイヨン(牛肉など)をベースとする
- ソース・ヴルーテ sauce velouté、鶏肉、魚、子牛肉などの、焼いた骨を含まないブイヨンをベースとする
20世紀初頭、シェフのオーギュスト・エスコフィエが分類を更新し、「ソース・アルマンド」を卵ベースの乳化液状(オランデーズとマヨネーズ)に置き換えて、「トマト」を追加した。エスコフィエの分類は今日のシェフにも教えられている。
- ベシャメル
- エスパニョール
- オランデーズ
- トマトソース
- ヴルーテ
調理中に使われるソースのほとんどは上記の基本ソースのひとつから派生したものである。基本ソースがレストランで使われることはないが、多くはベアルネーズなどの派生物である。
他の料理でのソース
他の料理でも、ソースと香辛料は重要な役割を演じる。
- イギリス料理:グレイビーは、(定番として)ジャガイモ、食肉、茹で野菜と付け合わせのヨークシャー・プディングからなる肉料理で伝統的に使われる。ブレッドソースは、イギリス料理での最も古いソースのひとつである。アップルソースとミントソースは肉料理(それぞれ豚肉とラム肉に)使われる。サラダクリームはサラダに使われる。ケチャップとブラウンソースはファストフード類に使われる。英国の辛口マスタードは(フランス、アメリカ同様に)様々な食品に使われ、ウスターソースも同様である。カスタードはデザートソースとして一般的である。これらのソースの慣習はアメリカ合衆国と同様に、元植民地の地域に広まっている。
- イタリア料理のソースには、アルフレード(アルフレッド)、バルサメッラ(ベシャメル)などのホワイトソース、シチリアーナ、ペスカトーレ、ナポリターナ、ピッツァイオーラ、アマトリチャーナ、ラグーなどのレッドソース、主にオリーブ・オイルとニンニクをベースとするペストソースがある。
- サルサ(スペイン語の「ソース」)であるグァカモレ(ワカモレ)、ピコ・デ・ガヨ、サルサ・ベルデ、サルサ・ロハは、アメリカとヨーロッパのラテン系料理の重要な要素である。主にトマト、ニンニク、香辛料が含まれ、濃いソースにはアボカドも含まれる(グァカモレ)。
- 日本料理で使われる主なソースは醤油、味噌、出汁をベースとする。柑橘類風味の醤油である(ポン酢醤油)、甘みと旨味を加えた醤油である「焼き鳥のたれ」は、醤油ベースのソースの例である。割り下やかえし等も醤油ベースのソースである。味噌ベースのソース(タレ)には、すりゴマを加えた「ゴマ味噌(ごま味噌)」、甘みを加えた「江戸甘味噌」、唐辛子などを加えた「辛味噌(唐辛子味噌)」がある。
- 中華料理では、発酵した大豆をベースとしたソース(醤油、黒豆醤、海鮮醤)、チリソース、オイスターソース他のソースなどの加工済みソースが知られている。珍しい(定番の)ソースに甘酢あん(甜酸醤)があり、他の地域の料理のほとんどで見られない2つの基本風味の組み合わせが並列する。
- タイ料理やベトナム料理のような東南アジア系料理では、魚を発酵した魚醤が使われる。
アジアの加工済みソースには、小麦粉などのとろみを加える成分が入らないため粘り気が無い。コーンスターチなどを調理の最後に加えてとろみを加える。
ソースのバリエーション
トマトベース(トマトケチャップやトマトソースといった)、他の野菜や様々な香辛料ベースの多数のソースがある。日本では単に「ケチャップ」という場合トマトケチャップを指すが、他の野菜または果物もケチャップに使われる。
ソースには甘いものもあり、冷やしてまたは温めて、デザートにかけたり、添えたりする。
ソースの他の種類は煮詰めた果物で、こして果皮と繊維を取り除き、場合により糖分を加えて作る。そのようなソースには、アップルソースやクランベリーソースがあり、他の特定の食品と(アップルソースは豚肉、ハム、またはポテトパンケーキと、クランベリーソースは家禽と)共に食され、またはデザートに添えられる。
ソースの一覧
西洋のソース
- ホワイトソース
- マッシュルームソース
- ソース・アルマンド
- ソース・アメリケーヌ
- ソース・ヴルーテ
- ブラウンソース
- グレイビーソース
- ドミグラスソース
- プーティンソース
- ほかソース・オゥ・ポワヴル、ソース・シャトーブリアン、ソース・ブラゴーニュ、ソース・ボルドレーズ、ソース・ロベール など
- ベシャメル系
- オーロラソース
- ベシャメルソース
- モルネーソース
- 乳化ソース
- ヴィネグレットソース(フレンチドレッシング)
- ソース・オランデーズ
- ソース・ベアルネーズ
- サラダクリーム
- アイオリソース
- マヨネーズ
- バターソース
- ソース・ブールブラン
- カフェ・ド・パリ・ソース
- ムニエルソース
- トマトソース
- アマトリチャーナ
- アラビアータ
- マリナーラソース
- ミートソース
- オイルソース系
- アンショワード(アンチョビとオリーブ油)
- 生野菜微塵切り・すりおろしを含むソース
- タルタルソース
- ペスト
- ラビゴットソース
- ラテンアメリカの各種サルサ(サルサ・ベルデ、ワカモレ など)
- アプフェルクレン
アジアのソース
- シーフード系
- オイスターソース
- 魚醤類(日本のしょっつる、タイのナンプラー、ベトナムのヌクマム など)
- 海鮮醤(ハイセンジャン)
- ケチャップ
- チリソース系
- ケチャップマニス
- サンバル
- その他
- 醤油
- カレーソース
- ダックソース、プラムソース - 北京ダック調理に使う
- 豆チ醤、タオチオ(豆豉を用いたソース)
- 甘酢あん(甜酸醤)
その他各種のソース
- ウスターソース(イギリス)
- とんかつソース(日本。広義のウスターソースに分類される)
- 中濃ソース(日本。広義のウスターソースに分類される)
- ザジキ(ギリシア)
- ソース・アラシッド(西アフリカ)
- チャツネ (南アジア)
- ブレッドソース (イギリス)
- モーレ (ラテンアメリカ)
- 各社から発売されている各種辛味ソース(商標としてヴィシャス・ヴァイパー、タバスコ、チョルーラ・ホットソース、デスソース、 など)
- 蓼酢
スイートソース
スイートソースについては、デザートソースの一覧も参照。
- カスタード
- クレーム・アングレーズ
- チョコレートソース、ファッジソース
- バタースコッチソース
-
- アップルソース
- クランベリーソース
- コーヒーソース
関連項目
- タレ
- 醤
- ソーライス
- ディップ
外部リンク
- 一般社団法人 日本ソース工業会
- ソース&ドレッシングのレシピ
- ソースも色々あるけれど? | 食育大事典
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