暦法の歴史
全て太陰太陽暦である。渋川春海が独自の思想にもとづき神武天皇即位紀元まで遡って「日本長暦」を編纂し、それまでの期間の暦を定めたため、それが例えば皇紀や紀元節などの典拠ともなっているが、一般には以下に挙げる暦よりも前にそのような暦があったとは考えられていない(江戸期において、すでに本居宣長が否定している)。
古代から江戸時代初期までは、各時代の中国暦を輸入したものが使われていた(宣明暦以降は輸入が途絶え、そのまま使っていた)。江戸期において、西洋暦も参考にした日本人による暦が作られ始めた。明治改暦により、グレゴリオ暦1873年(明治6年)1月1日からはグレゴリオ暦が使われ、2024年(令和6年)現在に至っている。
- 元嘉暦(げんかれき) - 6世紀頃朝鮮半島の百済から伝えられた宋の時代の中国暦である。
- 儀鳳暦(ぎほうれき) - 中国暦で690年から元嘉暦と併用された。697年からは単独で使用された。
- 大衍暦(たいえんれき、だいえんれき) - 中国暦で764年から861年まで使われた。
- 五紀暦(ごきれき) - 中国暦で781年に日本に紹介されたが単独で使われることはなかった。
- 宣明暦(せんみょうれき) - 中国暦で862年から1685年まで使用された。
- 貞享暦(じょうきょうれき) - 初めて日本人により編纂された暦で1685年から1755年まで使われた。
- 宝暦暦(ほうりゃくれき、ほうれきれき) - 1755年から1798年
- 寛政暦(かんせいれき) - 1798年から1844年
- 天保暦(てんぽうれき) - 1844年から1872年
日本の暦の歴史
前記の和暦に基づき以下の暦(暦書・暦表)が使われてきた。暦の作成配布は日本に限らず、古代より統治者(朝廷や幕府)によって取締られてきた事項であり、明治に至っては神宮暦に一本化された。暦の決定は国家が法で行うが、カレンダーは(それに従って)自由に作ってよい、と明確に分離され自由になったのは、戦後の1946年である。
- 具注暦(ぐちゅうれき)
- 京暦(きょうごよみ)
- 始まりは鎌倉時代と推定されている。15世紀中頃には(すりごよみざ)が専売権を持っていた。
- 1657年には朝廷御用達で全国の暦師の監督権を持っていた(だいきょうじ)がを発行していた。
- 三島暦(みしまごよみ)
- 大宮暦(おおみやごよみ)
- 戦国時代に武蔵国大宮の氷川神社で作成された仮名暦。
- (にゅうこよみ)
- 伊勢暦(いせごよみ)
- 1632年より発行され江戸時代には全国各地に配布された。
- この暦には吉凶凡例、日ごとのやに関する記述があり生活暦(せいかつれき)として重宝され、伊勢詣の土産にもなっていた。配布数も増加し享保年間(1716-1735)には毎年200万部が出版され、全国で配られた暦の約半数を占めていたともいわれている。
- 江戸暦(えどごよみ)
- 江戸の人口増大に伴って、17世紀中期から刊行され、1697年には11名からなる仲間組織が結成された。
1871年(明治4年)には改暦およびの発行に伴い、全国の暦師をまとめた頒暦商社が組織された。官暦ではそれまで記載されていた吉凶の記載が除かれ、明治末には旧暦の記載も無くなったため、それらを記載した非合法のお化け暦(おばけごよみ)が出回った。
1883年には本暦(官暦)の発行は神宮司庁の管轄となり神宮暦(じんぐうれき)と呼ばれた。
1903年に日めくりカレンダーの製造が始まる。
1946年には暦の専売制が廃され、発行が自由化された。
各月の別名
- 1月 - 睦月(むつき)
- 2月 - 如月 または 衣更着(きさらぎ)
- 3月 - 弥生(やよい)
- 4月 - 卯月(うづき)
- 5月 - 皐月 または 早月(さつき)
- 6月 - 水無月(みなづき)
- 7月 - 文月(ふみづき、ふづき)
- 8月 - 葉月(はづき)
- 9月 - 長月(ながつき)
- 10月 - 神無月(かんなづき)、では神在月(かみありつき)
- 11月 - 霜月(しもつき)
- 12月 - 師走(しわす、しはす)
本来は旧暦による月の別名であるため、そのまま新暦に適用すると季節感が合わなくなることがある。十二月の別名「師走」は、年末の慌ただしい様子を表す月名として、現在でもよく使われている。
国民の祝日
国民の祝日は1948年施行の国民の祝日に関する法律(祝日法)で規定している。
- 1月 - 元日( 1日1948年から)
- 1月の第2月曜日 - 成人の日(2000年から。それ以前は1月15日(1948年から))
- 2月11日 - 建国記念の日(1966年から)
- 2月23日 - 天皇誕生日(令和改元後の2020年から)
- 3月21日頃 - 春分の日(1948年から)
- 4月29日 - 昭和の日(2007年から。それ以前はみどりの日(平成改元後の1989年から)さらにそれ以前は天皇誕生日(1948年から))
- 5月 - 憲法記念日( 3日1948年から)
- 5月 - みどりの日( 4日2007年から)
- 5月 - こどもの日( 5日1948年から)
- 7月の第3月曜日 - 海の日(2003年から。それ以前は7月20日(1995年から))
- 8月11日 - 山の日 (2016年から)
- 9月の第3月曜日 - 敬老の日(2003年から。それ以前は9月15日(1966年から))
- 9月23日頃 - 秋分の日(1948年から)
- 10月の第2月曜日 - スポーツの日(2020年から。それ以前は体育の日(2000年から)さらにそれ以前は10月10日(1966年から))
- 11月 - 文化の日( 3日1948年から)
- 11月23日 - 勤労感謝の日(1948年から)
春分の日と秋分の日の日付は、前年2月1日の官報で発表される。
休日
- 祝日法では「国民の祝日」は、休日とすることが定められている。
- (1973年〜2006年)国民の祝日が日曜日にあたるときは、その翌日が休日となる。いわゆる振替休日である。
- (2007年〜)国民の祝日が日曜日に当たるときは、その後に迎える最初の「国民の祝日でない日」が休日となる(前項と同様にこれもいわゆる振替休日である。ゴールデンウィークなど祝日が2日以上連続する場合が出現したことによる法改正)。
- 例:ゴールデンウィーク中の5月3日(憲法記念日)・5月4日(みどりの日)・5月5日(こどもの日)のうちのいずれかの日が日曜日である場合、5月6日が休日となる。
- (1988年〜)前日と翌日が国民の祝日の場合(つまり国民の祝日が2日違い)、当日が国民の祝日でない日は休日となる。いわゆる国民の休日である。この規定が適用されるのは当初は5月4日のみだったが、2003年の祝日法の改正施行により、年によっては敬老の日と秋分の日が2日違いとなる場合があり、それらの中間日にも適用されることとなった(5月4日は2007年の祝日法の改正施行により国民の祝日となったため適用外となった)。
- 日曜日を休日と定めた、効力が及ぶ範囲を限定しない法律は存在しない(裁判所の休日に関する法律や各地方公共団体が制定する職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例、銀行法 などのような、効力が及ぶ範囲を限定する法令には日曜日を休日と定めたものは存在する)。
二十四節気、雑節
詳しくは二十四節気を参照。
中元と盆を除いて、日付は年により前後する。
- 1月 - 小寒(しょうかん)、寒の入り(かんのいり) 5日
- 1月17日 - 冬の土用(どよう)
- 1月20日 - 大寒(だいかん)
- 2月 - 節分(せつぶん) 3日
- 2月 - 4日立春(りっしゅん)
- 2月19日 - 雨水(うすい)
- 3月 - 6日啓蟄(けいちつ)
- 3月16日 - 春の社日(しゃにち)
- 3月18日 - 春彼岸(はるひがん)
- 3月21日 - 春分(しゅんぶん)
- 4月 - 清明(せいめい) 5日
- 4月17日 - 春の土用(どよう)
- 4月20日 - 穀雨(こくう)
- 5月 - 八十八夜(はちじゅうはちや) 2日
- 5月 - 立夏(りっか) 6日
- 5月21日 - 小満(しょうまん)
- 6月 - 芒種(ぼうしゅ) 6日
- 6月11日 - 入梅(にゅうばい)
- 6月21日 - 夏至(げし)
- 7月 - 半夏生(はんげしょう) 2日
- 7月 - 小暑(しょうしょ) 7日
- 7月15日 - 中元(ちゅうげん)、盆(ぼん)
- 7月20日 - 夏の土用(どよう)
- 7月23日 - 大暑(たいしょ)
- 8月 - 立秋(りっしゅう) 8日
- 8月23日 - 処暑(しょしょ)
- 9月 - 二百十日(にひゃくとおか) 1日
- 9月 - 白露(はくろ) 8日
- 9月11日 - 二百二十日(にひゃくはつか)
- 9月20日 - 秋彼岸(あきひがん)
- 9月22日 - 秋の社日(しゃにち)
- 9月23日 - 秋分(しゅうぶん)
- 10月 - 寒露(かんろ) 8日
- 10月20日 - 秋の土用(どよう)
- 10月23日 - 霜降(そうこう)
- 11月 - 立冬(りっとう) 7日
- 11月22日 - 小雪(しょうせつ)
- 12月 - 大雪(たいせつ) 7日
- 12月22日 - 冬至(とうじ)
節句
暦の節目は節句となっている。
六曜(六輝)
- 先勝(せんしょう)
- 友引(ともびき)
- 先負(せんぷ)
- (仏滅)(ぶつめつ)
- (大安)(たいあん)
- (赤口)(しゃっこう)
その他
- 12月3日は「カレンダーの日」
- 1872年(明治5年)の12月3日を新暦(太陽暦)の明治6年1月1日とする新暦採用に因る。
脚注
注釈
出典
関連項目
- 干支
- 暦注
- 七十二候
- 年中行事
- 日本の年中行事・記念日の分類
外部リンク
- 国立天文台 暦wiki 日本の暦
- 国立国会図書館:日本の暦
- 大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)センター 和暦・西暦・年齢対照表
- 新暦と旧暦を対照できる資料を調べる | 調べ方案内 | 国立国会図書館
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