この記事は最新の出来事(2022年ロシアのウクライナ侵攻)に影響を受ける可能性があります。 |
- ロシア連邦
- Российская Федерация
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(国旗) (国章) - 国の標語:特になし
- 国歌: Госуда́рственный гимн Росси́йской Федера́ции
ロシア連邦国歌
ロシア連邦国歌 (演奏版)
Патриоти́ческая пе́сня
愛国歌
(1991 - 2000) -
公用語 ロシア語 首都 モスクワ 最大の都市 モスクワ(ヨーロッパロシア)
ノヴォシビルスク(シベリア)
ハバロフスク(極東ロシア)- 政府
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大統領 ウラジーミル・プーチン 連邦政府議長 ミハイル・ミシュスチン 安全保障会議副議長 ドミートリー・メドヴェージェフ 連邦院議長 ワレンチナ・マトヴィエンコ 国家院議長 ヴャチェスラフ・ヴォロージン 最高裁判所長官 - 面積
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総計 17,234,033km2または17,093,311km2(1位) 水面積率 0.5% - 人口
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総計(2024年) 140,820,810人(9位) 人口密度 8.30人/km2 - GDP(自国通貨表示)
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合計(2020年) 106兆9674億6000万ロシア・ルーブル - GDP(MER)
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合計(2020年) 1兆4785億7100万ドル(11位) 1人あたり 1万115.35ドル - GDP(PPP)
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合計(2020年) 4兆1004億7500万ドル(6位) 1人あたり 2万8052.589ドル - 建国
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モスクワ大公国 1263年 ロシア・ツァーリ国 1547年1月16日 ロシア帝国 1721年10月22日 ロシア臨時政府 1917年3月16日 ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国成立 1917年11月7日 ソビエト連邦が発足、同国の構成国となる。 1922年12月30日 ソビエト連邦の崩壊により独立 1991年12月26日
通貨 ロシア・ルーブル(RUB) 時間帯 UTC+2 - +12 (DST:なし) ISO 3166-1 RU / RUS ccTLD .ru .рф 国際電話番号 7
ロシア連邦(ロシアれんぽう、ロシア語: Российская Федерация)、通称ロシア(ロシア語: Россия)は、(ユーラシア大陸)北部に位置する連邦共和制国家である。首都はモスクワ。
国土は旧ロシア帝国およびソビエト連邦の大半を引き継いでおり、ヨーロッパからシベリア・極東におよぶ。面積は17,090,000 km2(平方キロメートル)以上と(世界最大)である。
概要
国 | 民主主義指数 |
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ドイツ | 8.80 |
イギリス | 8.28 |
フランス | 8.07 |
イタリア | 7.69 |
世界平均 | 5.29 |
ロシア | 2.28 |
国 | 世界報道自由度 |
---|---|
ドイツ | 81.91 |
フランス | 78.72 |
イギリス | 78.51 |
イタリア | 72.05 |
ロシア | 34.77 |
ロシアは国際連合安全保障理事会常任理事国であり、旧ソビエト連邦構成共和国でつくる独立国家共同体(CIS)の指導国であるだけでなく、BRICS、G20、アジア太平洋経済協力(APEC)、上海協力機構、ユーラシア経済共同体、欧州安全保障協力機構、世界貿易機関(WTO)などの加盟国である。かつてG8加盟国であったが、2014年3月にクリミアの併合を強行したことでG8の参加資格を停止された。
核拡散防止条約により核兵器の保有を認められた5つの公式核保有国の一つであり、である。国防費は2010年以降増加の一途を辿っている。常備軍のロシア連邦軍は地上軍・海軍・航空宇宙軍の3軍の他、戦略ロケット軍と空挺軍の2つの独立兵科で構成されている。運用面では地理的に分割された軍管区に権限が委譲されており、それぞれに統合戦略コマンドが設置されて3軍と通常兵器部隊を指揮している(戦略核兵器部隊は指揮権外)。現役軍人は約90万人であるが、2022年ロシアのウクライナ侵攻に伴う大量の戦死傷・捕虜や動員で変動しており、さらにロシア政府は2026年にかけて軍の定員を150万人へ増やす計画を進めている。
政治体制は、ソビエト連邦の崩壊に前後してソビエト共産党による一党独裁制が放棄されて複数政党制に基づく選挙が行われるようになったが、2003年以降は事実上ウラジーミル・プーチン大統領率いる与党「統一ロシア」の一党優位政党制になっている。複数政党制や選挙は一応存在するが、選挙から反体制派候補を排除するなどプーチン体制に有利な政治制度が構築されており、政治的意思を表明する機会に乏しい。「法の独裁」による統治を目指す強権的体質が内外から批判されており、エコノミスト誌傘下の研究所エコノミスト・インテリジェンス・ユニットによる民主主義指数は、世界134位と下位で「独裁政治体制」に分類されている(2019年度)。
言論の自由に関しても、国境なき記者団による世界報道自由度ランキングは149位と下位である(2020年度)。特に、2022年のウクライナ侵攻以降は「広範囲に検閲を行うなどしてニュースや情報を完全に支配している」と非難されており、2022年は155位、2023年は164位と大幅に順位を落としている。
領土や軍事力に比べてロシアの経済は国際的地位が低いものの、2014年時点の名目GDPは世界第9位(発展途上国に有利になる購買力平価では世界第6位)であった。鉱物およびエネルギー資源は世界最大の埋蔵量であり、およびの一つである。しかし、資源依存の経済体質であるため、原油安の時期は経済が停滞する。加えて2014年にクリミア併合を強行したことにより、欧米から経済制裁を受けてさらなる打撃を受けている。2022年にはウクライナへ侵攻したことでSWIFTからの排除など、さらなる経済制裁を受けている。
2023年時点ではロシアは世界第2位の仮想通貨のマイニング大国であり、ブロックチェーン技術を使用した国際決済(BRICS PAY)の推進や、新たな機関を設立する計画を進めている。
人口はロシア連邦国家統計庁によれば1億4680万人(2017年時点。ソ連時代の1990年には2億8862万人であった)であり、世界第9位、ヨーロッパで最も多い人口である。最大の民族はロシア人であるが、ウクライナ人やベラルーシ人やトルコ系のウズベク人、またシベリアや極東の少数民族なども存在し、合計で100以上の民族がある。公用語はロシア語であるが、少数民族の言語も存在する。宗教はキリスト教徒が人口の60%を占め、その大半がロシア正教会の信者である。イスラム教徒も人口の8%ほどおり、仏教徒も存在する。
地理としてはロシアの国境は、北西から南東へ、ノルウェー、フィンランド、エストニア、ラトビア、ともにカリーニングラード州と隣接するリトアニアおよびポーランド、ベラルーシ、ウクライナ、ジョージア、アゼルバイジャン、カザフスタン、中華人民共和国、モンゴル国、朝鮮民主主義人民共和国と接する。海上境界線としては、日本とはオホーツク海・宗谷海峡・根室海峡・珸瑤瑁水道、アメリカ合衆国アラスカ州とはベーリング海峡を挟んで向かいあう。ロシアの国土面積は17,075,400 km2で世界最大であり、地球上の居住地域の8分の1を占める。国土が北アジア全体および東ヨーロッパの大部分に広がることに伴い、ロシアは11の標準時を有し、。
歴史の概要
ロシアの歴史は、3世紀から8世紀までの間にヨーロッパで認識され始めた東スラヴ人の歴史に始まる。9世紀、ヴァリャーグの戦士の精鋭およびその子孫により設立・統治され、キエフ大公国の中世国家が誕生した。
988年、東ローマ帝国からキリスト教正教会を導入し、次の千年紀のを特徴づける東ローマ帝国およびスラブ人の文化の統合が始まった。キエフ大公国は最終的に多くの国に分裂し、13世紀には領土の大部分がモンゴルに侵略され、遊牧国家ジョチ・ウルスの属国になり、ロシアが西洋から隔絶される原因となった(タタールのくびき)。モスクワ大公国は次第に周辺のロシアの公国を再統合し、キエフ大公国の文化的・政治的な遺産を支配するようになった。クリコヴォの戦いでジョチ・ウルスを破った後、ジョチ・ウルスは衰退し、イヴァン3世(イヴァン大帝)の時代に独立した。東ロシアのほとんどがモスクワ大公国に服した。
16世紀中ごろにイヴァン4世(イヴァン雷帝)がモスクワ帝国を建設した。ピョートル大帝は、ロシア人がバルト海に行く道を確保し、1703年にバルト海に面するサンクトペテルブルクを建設した。1712年にサンクトペテルブルクはロシアの首都になり、1721年にロシアは帝国になった。周辺諸国の併合などを繰り返し、史上第3位の領土を持つ帝国となり、版図はポーランドから、北アメリカ大陸北西部(ロシア領アメリカ、後にアメリカ合衆国へ売却)まで広がった。
1917年のロシア革命の後、ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国がソビエト連邦最大かつ指導的な構成国となった。スターリン時代には大粛清で国民を弾圧する一方で、工業化と軍拡、周辺国の侵略(バルト諸国占領やフィンランドに対する冬戦争)を進めた。第二次世界大戦ではナチス・ドイツの先制攻撃を受けた後に反撃に転じ(独ソ戦)、連合国の勝利に決定的な役割を果たした。こうして世界初の憲法上の社会主義共和国および、戦後はアメリカ合衆国と並ぶ超大国となった。アメリカやその同盟国とは冷戦で激しく対立したが、ソビエト連邦の宇宙開発は初期においてアメリカを凌駕し、世界初の人工衛星および世界初の有人宇宙飛行を含む20世紀のを経験した。やがてソ連共産党による一党独裁の弊害が噴出するようになり、1991年にソビエト連邦の崩壊に至った。
新たにロシア連邦を国名とし、ロシアも同等の国名とされた(1992年の憲法改正により)。ロシアの国旗は革命前の白・青・赤の3色旗に戻り、国際連合における地位などは基本的に旧ソ連を引き継いでいる(安全保障理事会常任理事国など)。
国名
ロシア連邦(Российская Федерация、ラテン文字転写: Rossíjskaja Federátsija など、発音:ラッスィーイスカヤ・フィディラーツィヤ、IPA: [rɐˈsʲijskəjə fʲɪdʲɪˈratsɨjə])。ロシア語では略号のРФ(RF)も使われる。英語表記は Russian Federation 。
ロシア連邦憲法第1条第2項でロシア連邦とロシア(Россия、Rossíja、ラッスィーヤ、[rɐˈsʲijə] )は同じ意味(同等の扱い)としており、ロシア語においてもロシア連邦の意味でロシアが使われることもある。
歴史的な国名
ロシアの国名は、現代のロシア北西部とウクライナ、ベラルーシにあたるルーシという国家のギリシャ語名Ῥωςから派生したῬωσσία(現代ギリシャ語ではΡωσία)。この名は、ルーシの北東の辺境地に起こったモスクワ大公国がルーシ北東地域を統合し、「ルーシの遺産の争い」をめぐってリトアニア大公国と対立していた16世紀のイヴァン4世(雷帝)のころに使われ始め、自称に留まったロシア・ツァーリ国を経て、18世紀初頭のピョートル1世(大帝)がロシア皇帝(インペラートル)と称したことにより、対外的にも正式の国名となっている。
ルーシのギリシャ語風名称としてのロシア(正確には「ローシア」)という語はかつてのルーシの諸地域を指し、ルーシ北西部を「」、現在の西ウクライナあるいは中・南部ウクライナを「小ロシア」と呼んだ。ベラルーシも「白ロシア」という意味である。しかし、小国の乱立したルーシ地域では早くからウクライナやベラルーシの人々とロシアの人々との間には異なった民族意識が醸成されていった。結果、これらの国々はロシア帝国の崩壊後に別々の国家を樹立し、再統合されたソ連邦下でも別々の共和国とされ、ソ連邦の解体に際しては別々に独立することとなった。
別の観点から言うと、ロシアはキエフ・ルーシ時代、その大公権に属するモスクワ公国という小さな一部分に過ぎなかったが、ジョチ・ウルスの時代に征服者モンゴルとうまく協調したこと(税金を進んでモンゴルに納めたことなど)や、隣国を破って旧キエフ・ルーシの東側領土の大半を影響下に収めたこと、帝政時代の極東への進出と拡張により大国となった。その権力の正統性を説明するため、モスクワは東ローマ帝国からローマ帝国の威信も受け継いだという学説も考案された。こうしたことから、モスクワ大公国は「偉大なルーシ」の権力を継ぐ国家であると自称するようになり、なおかつヨーロッパ国家の一員であるという考えから、公式にギリシャ風の「ロシア」を国号として用いるようになった。
国名の日本語表記の変遷
従来はよりロシア語名に近いロシヤと表記されることが少なくなかったが、1980年代ごろからギリシャ語風の(つまり他のヨーロッパ諸国の名称に合わせた)ロシアという表記が完全に主流となった。現代日本語の(漢字表記)は露西亜で、略称は露。江戸時代にはオロシャ、をろしやとも呼ばれた。これは、中国語の「俄羅斯」およびモンゴル語のОрос(オロス)に近い呼び名である。日本の江戸時代から戦前にかけては魯西亜(魯西亞)という表記が主流で、1855年に江戸幕府とロシア帝国の間の最初の条約は「日本国魯西亜国通好条約」という名称になった。この漢字表記について、1877年(明治10年)にロシア領事館から「魯は魯鈍(愚かなこと・様子)を連想させる」との抗議を受けた明治政府は、ロシア側の希望を受け入れ表記を露西亜(露西亞)とした。
歴史
ロシアの歴史 | |
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この記事はシリーズの一部です。 | |
ヴォルガ・ブルガール (7c–13c) | |
ハザール (7c–10c) | |
キエフ大公国 (9c–12c) | |
ウラジーミル・スーズダリ大公国 (12c–14c) | |
ノヴゴロド公国 (12c–15c) | |
タタールの軛 (13c–15c) | |
モスクワ大公国 (1340–1547) | |
ロシア・ツァーリ国 (1547–1721) | |
ロシア帝国 (1721–1917) | |
ロシア臨時政府 / ロシア共和国 (1917) | |
ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国 / ソビエト社会主義共和国連邦 (1917–1991) | |
ロシア連邦 (1991–現在) | |
ロシア ポータル |
古代
キリスト教化前のロシア
国家や文化、言語の変遷において「ロシア人」の祖となる人々は、北東ルーシと呼ばれる地域に古くから居住していたとされる。その地に暮らした東スラヴ系の諸部族はフィン人と隣接しており、交易や同化などを通して言語や文化において互いに大きな影響を与えたとされる。ロシア人にはフィン・ウゴル系民族に多いとされるY染色体遺伝子であるハプログループN系統もある程度見られる。
古代ギリシャの作家プロコピオスは、スラブ人(とアント人)は、王を持たない民主的な体制で、彼らが犠牲を捧げる「稲妻の創造主」(ペルーン)という単一の神を信じる野蛮人であるとした。また、非常に背が高く丈夫な体を持ち、髪色は金髪ではないが完全な暗色でもないとした。
スラヴ人には独自の文化と神話があった。世界は、自然の法則を支配する天の神々と、人々の習慣や行動を支配する地下の(クトニオスの)神々という、2つの反対の力によって支配されていると信じられていた。
5世紀の初めに、スラブの部族は極東ロシアの領土に移動し、この地域を支配し始めた。同時に、スラブの部族は地理的に西部(ヨーロッパに残っている)と東部に分かれた。
中世
9世紀の北東ルーシには、ノルマン人ではないかと推測されている民族集団「ヴァリャーグ」が進出しており、交易や略奪、やがては入植を行った。862年にはヴァリャーグの長リューリクが大ノヴゴロドの(公)となり、町は東ローマ帝国との貿易拠点として発展した。後代に書かれた『原初年代記』には、リューリクの一族が東スラヴ人の居住地域に支配を広げていったと記録される。9世紀後半にヴァリャーグはドニエプル地方に拠点を移した。そのため、それから13世紀にかけてのルーシの中心は、現在はウクライナの首都となっているキーウであり、現在ロシア連邦の支配地域の中心であるモスクワ周辺は辺境であった。モスクワの文献上の初出は1147年であるが、当時はスラヴ民族ではないフィン系のが居住する寒村であった。ヴァリャーグの支配者層を含めてスラヴ化したキエフ大公国は、9世紀に東ローマ帝国から東西教会分裂以後に正教会となる東方のキリスト教とギリシャ文化を受容し、独特の文化を育んだが、13世紀初頭にモンゴル人による侵入で2世紀にわたってジョチ・ウルスの支配下に入った。その混乱の中で、それまでキーウにあった府主教座はウラジーミル・ザレースキイへ移された。
数多くいるルーシ諸公の1人に過ぎなかったモスクワ公は、モンゴル支配下でルーシ諸公がハンに納める貢納を取りまとめる役を請け負うことで次第に実力をつけ、15世紀にジョチ・ウルスの支配を実質的に脱して他地域への侵攻を押し進めた。府主教座もモスクワへ遷座した。国家は独立性の高い大公国となった。のち、モスクワ大公はイヴァン3世のときツァーリ(皇帝)の称号を名乗り、その支配領域はロシア・ツァーリ国と自称するようになった。
16世紀にイヴァン4世(雷帝)が近代化と皇帝集権化、シベリア進出などの領土拡大を進めたが、彼の死後はその専制政治を嫌っていた大貴族の抗争で国内が大混乱(動乱時代)に陥った。モスクワ大公国の主要貴族(ボヤーレ)たちはツァーリの宮廷の権威を認めず、士族民主主義の確立していたポーランド・リトアニア共和国を慕った。この民主派のボヤーレたちは、ポーランド・リトアニア共和国とモスクワ大公国との連邦構想さえ打ち立て、ツァーリ専制を嫌っていた農民や商人をまとめ上げ、さらには共和国軍をモスクワ領内に招き入れてツァーリ派と戦い、共和国軍とともにモスクワを占領した。一方、ツァーリ派の貴族や商人たちは、政商ストロガノフ家の援助でニジニ・ノヴゴロドにおいて義勇軍を組織した。義勇軍側は、モスクワ政策を巡ってローマ・カトリック主義のポーランド国王兼リトアニア大公が信教自由主義のポーランド・リトアニア共和国議会と激しく対立していたことを絶好の機会とし、「反ローマ・カトリック闘争」の形で急速に数を増した。
そして1612年、ドミートリー・ポジャールスキーとクジマ・ミーニンの指揮の下、モスクワ市内のクレムリンに駐屯していた共和国軍の治安部隊を包囲攻撃、して撃破、モスクワを再占領した。ロシア連邦政府は21世紀現在でも再占領を誇示し11月4日を祝日としている。ここで中世ロシアは終わり、ロマノフ朝の成立とともに近代ロシアが始まることになる。
ロシア帝国
1613年にロマノフ朝が成立すると、大貴族と農奴制に支えられ、封建色の強い帝国の発展が始まった。17世紀末から18世紀初頭にかけて、ピョートル1世(大帝)は急速な西欧化・近代化政策と、新首都サンクトペテルブルクの建設(1703年)、大北方戦争(1700年 - 1721年)での勝利などによってロシア帝国の絶対主義体制の基盤を固めた。彼の時代から正式に皇帝(インペラートル)の称号を使用し、西欧諸国からも認められた。1762年に即位したエカチェリーナ2世はオスマン帝国との露土戦争(1768年 - 1774年と1787年 - 1792年)に勝利するとともに、ポーランド分割に参加し、欧州での影響力を増加させた。彼女の治世においてロシアはウクライナとクリミア・ハン国を併合し、名実ともに「帝国」となった。また、大黒屋光太夫が彼女に謁見したことにより、アダム・ラクスマンが日本に派遣(詳細は「北槎聞略」参照)され日露関係が実質的に始まった。彼女の時代に農奴制が固定化されていった。
アレクサンドル1世の治世において1803年に勃発したナポレオン戦争に参戦し、1812年にはナポレオン・ボナパルト指揮のフランス帝国軍に侵攻されたが、大損害を負いながらもこれを撃退(1812年ロシア戦役)。戦後はポーランド立憲王国やフィンランド大公国を支配して、神聖同盟の一員としてウィーン体制を維持する欧州の大国となった。国内でのデカブリストの乱やポーランド反乱などの自由主義・分離主義運動は厳しく弾圧された。
1831年に始まるエジプト・トルコ戦争以降は、ロシアの南下政策を阻むイギリスとの対立が激化し、中央アジア、アフガニスタン、ガージャール朝ペルシア(現・イラン)を巡って、露英両国の駆け引きが続いた(グレート・ゲーム)。1853年に勃発したクリミア戦争ではイギリス・フランス連合軍に敗北し、帝国の工業や政治、軍事全般の後進性が明確になった。1861年に皇帝アレクサンドル2世は農奴解放令を発布し、近代的改革への道を開いたが、農村改革や工業化のテンポは遅く、ナロードニキによる農村啓蒙運動も政府の弾圧を受けた。政治的自由化の遅れへの不満は、過激なアナキズム(無政府主義)やテロリズムを横行させ、無政府主義者による皇帝暗殺にまで発展した。
ロシアのシベリア征服が進み、中国大陸を支配する清や日本との接点が生じた。清とはネルチンスク条約(1689年)およびキャフタ条約 (1727年)により境界を定めていたが、清の弱体化によりロシアは極東でも南下政策をとった。アイグン条約(1858年)によりアムール川北岸を奪い、さらにアロー戦争の講和(北京条約)を仲介した見返りに日本海に面する沿海州を獲得し、ウラジオストクを建設した。
19世紀末期には、ロシアはそれまでのドイツ帝国・オーストリア=ハンガリー帝国との三帝同盟からフランス第三共和国との露仏同盟に外交の軸足を移し、汎スラヴ主義によるバルカン半島での南下を極東での南下政策と平行させた。フランス資本の参加により、極東へのシベリア鉄道の建設が行われている。20世紀初頭になると極東への関心を強め、満州や朝鮮に手を伸ばそうとしたが、日本と衝突して1904年の日露戦争となった。1905年に血の日曜日事件など一連の革命騒動が発生し、ポーツマス条約を結んで敗れると、戦後の1907年にロシアはイギリスと英露協商、日本と日露協約を締結し、三国協商に立ってドイツやオーストリアと対立した。国内ではドゥーマ(国会)の開設やピョートル・ストルイピンによる改革が行われたが、皇帝ニコライ2世の消極的姿勢もあって改革は頓挫し、帝国の弱体化は急速に進行した。その中で、都市部の労働者を中心に社会主義運動が高揚した。
ソビエト連邦
1914年にオーストリア=ハンガリー帝国の皇太子らがセルビア人に暗殺されると(サラエボ事件)、同じスラブ系国家であるセルビアを支援して、オーストリア=ハンガリー帝国およびその同盟国であるドイツと対立して互いに軍を動員し、第一次世界大戦が勃発。ロシアは連合国の一員として中央同盟国(ドイツ帝国、オーストリア=ハンガリー帝国、オスマン帝国)と開戦したが、敗北を重ねて領土奥深くまで侵攻された(東部戦線 (第一次世界大戦))。第一次世界大戦中の1917年2月に起こったロシア革命でロマノフ王朝は倒された。革命後、旧帝国領土には数多の国家が乱立し、シベリア出兵などで諸外国の干渉軍も加わって激しいロシア内戦となった。
1917年11月7日には十月革命でソビエト政権が樹立され、そのトップとなったウラジーミル・レーニンは中央同盟国とブレスト=リトフスク条約を結び大戦から離脱した後、赤軍を率いてロシア内戦に勝利し、1922年の年の瀬には共産党による一党独裁国家ソビエト社会主義共和国連邦を建国した。旧ロシア帝国領の大部分を引き継いだ構成4共和国(その後15まで増加)のうち、ロシア人が多数派を占める大部分の地域はロシア・ソビエト連邦社会主義共和国(ロシア共和国)となった。ソビエト連邦とロシア共和国の首都がサンクトペテルブルクからモスクワへと約200年ぶりに復され、同時にサンクトペテルブルクはレニングラードに改称された。ロシア共和国内に居住する少数民族については、その人口数などに応じて自治共和国、自治州、民族管区などが設定され、事実上ロシア共和国とは異なる統治体制をとった。
ソビエト体制でのロシア共和国は他の連邦加盟共和国と同格とされたが、面積・人口とも他の共和国を圧倒していたロシアでは、事実上連邦政府と一体となった統治が行われた。ソ連共産党内に「ロシア共産党」は連邦崩壊直前の1990年まで創設されず、第二次世界大戦後の国際連合でもウクライナ共和国や白ロシア共和国(現在のベラルーシ)と異なり単独での加盟が認められなかった。
1930年代の世界恐慌で多くの資本主義国が不況に苦しむ中、ソビエト連邦はその影響を受けず、レーニンの後を継いだスターリンによる独裁的な主導の下で農業集団化と重工業化が断行され、高い経済成長を達成した。しかし、その実態は農民からの強制的な収奪に基づく閉鎖的な工業化であった。農村からの収奪の結果、ウクライナやロシア南西部では大飢饉が発生した。その歪みはやがて政治的な大粛清と強制収容所の拡大など、恐怖に基づく支配をもたらす事態へとつながった(第二次世界大戦後に再び飢饉()が起こる)。
1939年9月の第二次世界大戦勃発直前に一時ナチス・ドイツとモロトフ・リッベントロップ協定を結んで協調し、ポーランド第二共和国をソ連・ポーランド不可侵条約を一方的に破棄して侵攻し、ポーランドを占領、冬戦争でフィンランドにも圧迫を加え、1939年12月の理事会において国際連盟から除名された。1940年にはバルト諸国占領によりソビエト連邦へ併合し、さらにルーマニアからベッサラビア地方を割譲させた。1941年6月には独ソ不可侵条約を一方的に破棄したナチス・ドイツのヒトラーに突如攻め込まれて西部の広大な地域を占領され(バルバロッサ作戦)、危険な状況に陥った。しかし、1942年初頭に首都モスクワ防衛に成功した後、英米をはじめとする連合国の助力もあってスターリングラード攻防戦およびクルスクの戦いを境に、1943年後半には反攻に転じて独ソ戦の主導権を握り、最終的には大戦に勝利した。さらにポーランド東半、ドイツ、ルーマニア、フィンランド、チェコスロバキアの一部などを併合し、西に大きく領土を広げた。極東方面では、1945年8月、日本に日ソ中立条約の不延長を通告して参戦。満州国やサハリン南部、千島列島、朝鮮北部に侵攻して占領した。
戦後は新領土内の非ロシア人の住民を追放し、ロシア人などを入植させる国内移住政策が進められた。特にエストニアやラトビアなどではロシア人の比率が急増し、ソビエト連邦解体後の民族問題の原因となった。旧ドイツ領のカリーニングラード州でもロシア人の比率が急増して、8割以上を占めるようになった。1946年には旧ドイツ領の東プロイセンの北部をカリーニングラード州、日本に侵攻して占領したサハリン島南部(南樺太)とクリル列島(千島列島、歯舞群島・色丹島を含む)全域を南サハリン州として編入した(南サハリン州は1947年にサハリン州に吸収)。一方、1954年には黒海沿岸のクリミア半島(クリミア州)がウクライナに移管され、ロシア共和国の領土は2014年のクリミア半島編入以前のロシア連邦にあたる領域になった。
日本はサンフランシスコ講和条約で一部領土を放棄したものの、千島列島南部の北方領土の返還を要求。それ以外の千島列島及び南樺太は、ロシア領土ではなく帰属未定地であると主張している。ロシア(当時はソ連)はサンフランシスコ講和条約に調印していない。なお、日本はユジノサハリンスクに在ユジノサハリンスク日本国総領事館を設置している。外務省によれば、当総領事館が位置しているユジノサハリンスク市(旧豊原市)をはじめとした南樺太は、サンフランシスコ平和条約によりその全ての権利・権限及び請求権を放棄したため、以降ソビエト連邦及びこれを承継したロシアが継続的に現実の支配を及ぼしており、これに対してロシア以外のいかなる国家の政府も領有権の主張を行っていないことなどを踏まえ、千島列島及び南樺太を含む地域を管轄地域とする在ユジノサハリンスク日本国総領事館を設置したものであるとしている。
戦後、ソ連は強大なソ連軍の軍事力を背景に1949年の北大西洋条約機構(NATO)結成に対抗して1955年にワルシャワ条約機構(WTO)を結成し、東ドイツ、ポーランド、チェコスロバキア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリアなどの東欧諸国を衛星国として東側諸国の盟主となり、自国と同様の人民民主主義体制を強要して、世界の2大超大国の一つとしてアメリカ合衆国を盟主とする西側諸国と冷戦を繰り広げた。しかし、既に1948年にはバルカン半島にてチトー主義下のユーゴスラビア社会主義連邦共和国がソ連から離反しており、1956年に共産党第一書記ニキータ・フルシチョフによるスターリン批判が行われた後は自由主義陣営との平和共存路線を進めたが、このスターリン批判により衛星国であったハンガリー人民共和国でハンガリー動乱が発生し、さらに自由主義国との妥協を批判する毛沢東が率いていた中華人民共和国や毛沢東思想に共鳴するアルバニア人民共和国の離反を招くなど、新スターリン主義によるソ連の指導性は揺らいだ(中ソ対立)。
1965年に共産党書記長レオニード・ブレジネフが主導権を握ったあと、ベトナム戦争にてアメリカ合衆国と戦うホー・チ・ミン率いる北ベトナムを支援したが、ブレジネフ在任中の1968年には衛星国であったチェコスロバキア社会主義共和国で「プラハの春」が始まり、翌1969年にはかねてから対立していた中華人民共和国と珍宝島・ダマンスキー島を巡って中ソ国境紛争を戦うなど、共産圏におけるソ連の指導性はさらに揺らぎ、1970年代に入ると計画経済の破綻などから次第にソ連型社会主義の矛盾が露呈していった。1979年から1989年にかけてアフガニスタンを侵略した。この際、ソ連軍がアフガニスタンの大統領官邸を急襲し、最高指導者ハフィーズッラー・アミーンと警護隊を殺害するというテロ行為(嵐333号作戦)を行っている。1985年にソ連の指導者となったミハイル・ゴルバチョフは冷戦を終結させる一方、ソ連を延命させるためペレストロイカとグラスノスチを掲げて改革に取り組んだものの、かえって各地で民族主義が噴出し、共産党内の対立が激化した。
党内抗争に敗れた改革派のボリス・エリツィンは、ソ連体制内で機能が形骸化していたロシア・ソビエト連邦社会主義共和国を自らの権力基盤として活用し、1990年に議長となると、同年6月12日にロシア共和国と改称して主権宣言を行い、翌年にはロシア共和国大統領に就任した。1991年8月のクーデターではエリツィンが鎮圧に活躍し、連邦を構成していた共和国はそろって連邦を脱退していった。同年12月25日にはソ連大統領ミハイル・ゴルバチョフが辞任し、翌日12月26日にソビエト連邦は崩壊した。
ロシア連邦
成立と脱共産化
1991年12月26日のソビエト連邦崩壊により、ロシア共和国が連邦から離脱してロシア連邦として成立し、エリツィンが初代ロシア連邦大統領に就任した。また、ソビエト連邦崩壊により世界規模のアメリカの覇権が成立し、当時はこれを「歴史の終わり」と見る向きも現れた。ロシア連邦は、旧ソ連構成国の連合体である独立国家共同体(CIS/СНГ)加盟国の一つとなった。ロシア連邦は、ソビエト連邦が有していた国際的な権利(安全保障理事会常任理事国など)・国際法上の関係を基本的に継承し、大国としての影響力を保持した。
国名は1992年5月、ロシア連邦条約によって現在のロシア連邦と最終確定した(ロシア連邦への国名変更は、ソビエト連邦大統領ゴルバチョフ辞任の当日である1991年12月25日、当時のロシア最高会議決議による)。
エリツィン政権下では市場経済の導入が進められたが、急激な移行によってロシア経済は混乱し、長期的な低迷を招いた。その一方で、この時期には「オリガルヒ」と呼ばれる新興財閥が台頭し、政治的にも大きな影響力を持つようになった。ソ連政府は国民にあまねく賃貸住宅を配分していたが、それらを建設するだけで巨額の財政負担となっており、財政再建中のロシア連邦がリフォームすることなどかなわず、無償で住民が物件を取得できるようになり急激な私有化を進めた。私有化されていないものは地方自治体への譲渡が進み、人口減少社会となるなか、若者向けに低家賃で貸し出した。
1993年には新憲法制定をめぐって激しい政治抗争(10月政変)が起こったものの、同年12月12日には国民投票によってロシア連邦憲法が制定された。1994年から1996年にかけて、ロシア連邦からの独立を目指すチェチェン独立派武装勢力と、それを阻止しようとするロシア連邦軍との間で第一次チェチェン紛争が発生し、一般市民を巻き込んで10万人以上が犠牲になった。1997年5月に和平に向けてハサヴユルト協定が調印され、5年間の停戦が合意された。ところが1999年8月、チェチェン独立派勢力(チェチェン・イチケリア共和国など)と、ロシア人およびロシアへの残留を希望するチェチェン共和国のチェチェン人勢力との間で第二次チェチェン紛争が発生した。1999年夏からイスラム急進派の排除という名目のもとに、ロシア軍は全面的な攻勢に出ている。同年8月にロシアの首相に就任したウラジーミル・プーチンらがこの強硬策を推進した。
1996年11月、ロシアは第一回だけで10億ドルのユーロ債を起債した。それまでの累積ユーロ債発行額は160億ドルほどに達した。
1999年12月8日、当時の大統領エリツィンとベラルーシの大統領アレクサンドル・ルカシェンコとの間で、将来の両国の政治・経済・軍事などの各分野での統合を目指すロシア・ベラルーシ連合国家創設条約が調印された。しかし、その後、後継大統領に就任したウラジーミル・プーチンが、ベラルーシのロシアへの事実上の吸収合併を示唆する発言を繰り返すようになってからは、これに反発するベラルーシ側との対立により、両国の統合は停滞した。2022年ロシアのウクライナ侵攻にルカシェンコは協力しているが、ベラルーシ共和国軍の参戦は回避している。
プーチン政権
1999年12月31日、当時の大統領エリツィンが任期を半年余り残して突然辞任した。首相のウラジーミル・プーチンが大統領代行に就任し、2000年3月の大統領選挙に圧勝して大統領に就任した。「法の独裁」による統治をめざす強権的体質が内外から批判される一方、安定した経済成長により国民の高い支持率を維持し、2004年にも再選された。
2003年、ミハイル・ホドルコフスキーが脱税などの罪で逮捕・起訴され、ユコスの社長を辞任した。シブネフチとの合併が取り消されるなどして株価が乱高下し、内部者取引が横行した。2005年にロシアの住宅私有化率は63パーセントに達し、国際的な不動産価格の下落へつながっていった。2007年、ホドルコフスキーを除くユコス株主らはロシア政府がユコスを破綻させたとしてハーグの常設仲裁裁判所へ提訴した。2010年6月26日、政府側のロスネフチに賠償命令が出た。7月27日には内部者取引と株価操作を取り締まる法案が可決された。これは翌年から施行された。2014年7月、ユコス破綻事件で政府は19億ユーロの賠償金支払いを命じられていたが、12月に欧州人権裁判所が政府の上訴を棄却した。2016年4月、ハーグ地区裁判所が、ロシア政府に株主らへ500億ドルの賠償金支払いを命じた常設仲裁裁判所の判決を棄却した。
政権初期にチェチェン共和国への軍事作戦を再開するとともに、周辺各共和国への締めつけも図った。チェチェン独立派を支持するサウジアラビアなどアメリカに友好的な湾岸のスンニ派諸国との関係悪化を招いた。これらの過程において報道管制を強化し、反政府的な報道機関やジャーナリストは強い圧力をかけられた。対外的には、上海協力機構を通じて中華人民共和国やイランとの関係を強化し、また、中央アジア各国とはエネルギー開発の面での協力を強めた。ウクライナで親西側政権ができると、天然ガス供給停止措置をとることで圧力をかけ、間接的にドイツやフランスへの自国の影響力を誇示した。
また、プーチンの大統領就任当初は、アメリカ同時多発テロ事件以降の対テロ戦争という目的から蜜月といわれたアメリカとの関係も、イラク戦争やイラン核開発疑惑といった諸問題を扱うなかで悪化、また、米国が主導する旧ソ連各地のカラー革命などロシアの裏庭地域へのアメリカによる露骨な政治介入、アメリカの反ロシアネオコン勢力が中心となって行った東ヨーロッパのミサイル防衛構想、ソ連崩壊時に北大西洋条約機構(NATO)は東方へ拡大しないとしたゴルバチョフと当時のアメリカ大統領ブッシュの取り決めが破られ、実際にはNATOの東方拡大が進んだなどの理由により、関係は冷却化した。一方で、首脳同士の懇談は頻繁であり、かつての冷戦とは異なる様相である。プーチンが行った事業はいずれも西側諸国から強圧的であるとの批判が多いものの、結果的にはロシアの国際的地位を向上させた。これにはプーチン政権発足後から続くエネルギー価格の急騰により、対外債務に苦しんでいたロシアが一転して巨額の外貨準備国となり、世界経済での影響力を急速に回復したことも寄与している。2007年には2014年の冬季オリンピックを南部のソチで開催するソチオリンピックの招致に成功した。
2008年5月、側近のドミートリー・メドヴェージェフが大統領に就任したが、プーチンも首相として引き続き残留した。同年、メドヴェージェフ政権下で南オセチア問題を原因とする南オセチア紛争が発生。これはソ連崩壊後、初めての対外軍事行動となっている。これらの行動から国際政治での多極主義を唱えて、ロシアが新たな一極となろうとしているとの見方がなされた[誰によって?]。事実、「アメリカの裏庭」であるベネズエラ、エクアドルなどの反米的な中南米諸国との関係を強化している(逆に、アメリカは「ロシアの裏庭」であるウクライナ、ジョージア(グルジア)などとの関係を強化している)。このように、冷戦終結後の一極主義の維持を目指すアメリカ側と対立する「新冷戦」の開始をもいとわないとも見られ、緊張状態が続いている。
クリミア半島編入とシリア内戦をめぐる欧米との対立とその他
2014年ウクライナ騒乱により、財政援助を目的にロシアとの関係を強化していた同国の大統領ヴィクトル・ヤヌコーヴィチが解任されるとロシアのプーチン大統領は反発し、オレクサンドル・トゥルチノフ大統領代行の暫定政権を承認しなかった。
2月後半から、以前からクリミア半島に駐留していたロシア軍部隊によって、1954年までロシア領で親ロシアの住民が多いクリミア自治共和国・セヴァストポリ特別市を掌握した。
クリミア自治共和国とセヴァストポリは、3月16日にウクライナからの独立とロシアへの編入を問う住民投票を実施し、その結果を受けて翌3月17日に両者はクリミア共和国として独立し、ロシアへの編入を求める決議を採択した。
翌3月18日、プーチンはクリミア共和国の要請に応じ、編入に関する条約に署名して事実上クリミア半島を併合した。アメリカ合衆国、欧州連合、そして日本などの諸外国政府はクリミアの独立とロシアへの編入は無効であるとし、ロシアとの間で対立が続いている(2014年クリミア危機)。この経緯によってロシアはG8の参加資格を停止され、欧米諸国がロシアに経済制裁を科した。
2011年から始まったシリア内戦では反体制派を支援する欧米に対し、中東での影響力を維持したいロシアがイランと共にバッシャール・アル=アサド政権に対して軍事的・経済的に援助を行っていることで欧米諸国と代理戦争に近い様相となり、対立を深めている。2015年9月30日にはロシア連邦軍がアサド政権を支援する直接的な軍事介入を開始(ロシア連邦航空宇宙軍によるシリア空爆)。これ以降、膠着状態だった戦況はアサド政権側に大きく傾いたことに加え、アサド政権とクルド人勢力の双方を支援していることから両者の仲介や、当初はアサド政権打倒を目指し欧米と協調して反体制派を支援していたトルコがクルド人勢力への対応で欧米と対立するに伴いシリア戦後処理へのトルコの引き込み、さらにエジプトやイラク、イスラエルといった親米国家であるもののアサド政権打倒後のシリアの安定に懐疑的な近隣国にも接近しつつあり、シリア内戦の収束に向けて主導的な役割を発揮し、中東での確固たる地位を築いている。
プーチンによる外交は、アメリカの大統領バラク・オバマを差し置いて世界的な影響力を持ち[要出典]、クリミア半島併合以降はとりわけ国民の支持も手厚くなっている。一方、2013年以降に原油価格の暴落が続いたことで、天然資源に依存した脆弱な経済体制が浮き彫りとなり、深刻な経済的困窮を招いている。
2015年、ロシア空軍はトルコ及びシリア付近を領空侵犯したため、トルコ空軍に撃墜された(ロシア軍爆撃機撃墜事件)。
現在、一部の欧米諸国はロシアへの経済制裁の解除及び緩和をし始めているが、アメリカを中心とする西側の欧米主要国はいまだにそういった様相を見せておらず、原油価格の上昇も当分は見込めないことから、ロシアは経済的に長い停滞期間が続いている。
西側諸国から孤立しつつある一方、BRICSや上海協力機構を中心に非欧米諸国との結びつきを強めることで国際社会での存在感を見せつけている。
2016年12月、アメリカで親ロシア派と公言していたドナルド・トランプ政権への政権交代があったものの、アメリカ国内でロシアへの敵対感情が高まっているため、弱腰外交と捉えられるような親露外交は回避し、米露間の関係が修復する兆しは一向にない。2016年アメリカ合衆国大統領選挙におけるロシアの干渉や、ウクライナ紛争を巡るミンスク和平合意の不履行による報復措置がとられたり、ロシアが条約に違反したとして中距離核戦力全廃条約から撤退したりするなど、両国間の溝は深まるばかりである。
2018年ロシア大統領選挙ではプーチンが4選された。
ロシアによるウクライナ侵攻
2021年1月、アメリカで反ロシア派と公言しているジョー・バイデン政権への政権交代があり、今後も米露関係修復の見込みはないと考えられている。
2022年2月、プーチンはウクライナ東部の反政府組織が建国したドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国を国家として承認し、ウクライナに宣戦を布告。親ロシア勢力の保護を名目にウクライナ国内に侵攻し、交戦状態に入った(2022年ウクライナ侵攻)ことにより、アメリカを中心とする国際社会から厳しい[経済制裁をうけることとなり、西側諸国との対立は深まり、新冷戦と呼べる状況に陥っている。
ウクライナ侵攻以降、ロシア領内が何者かに攻撃される事件が発生。中でもウクライナと隣接するロシアのベルゴロド州はウクライナ軍からと思われる攻撃を受け、民家359軒と一般車両112台が破壊された。また、ウクライナ侵攻後、ロシア国内の軍事施設、ショッピングセンター、工事などが突如爆発する事件が頻発している。
また、ロシアと国境を接するフィンランドと、バルト海対岸のスウェーデンがNATO加盟を申請した。
ウクライナ軍及び自由ロシア軍団と思われる組織によるロシア領内への度重なる攻撃とNATOの北欧拡大
ウクライナ侵攻中、ロシア国内は度重なるドローン攻撃や謎の火災が続出した。ウクライナ側は否定しているが、ロシアはウクライナと断定している。3月にはトゥーラ州がウクライナ軍によるドローン攻撃を受けたと発表した。
2023年4月にはフィンランドがNATOに加盟したため、31ヶ国体制となった。NATOが東欧だけでなく、北欧まで拡大したこと、NATOとロシアの国境が2600キロ以上に広がったこと、ロシアを軍事的に追い詰めることに対して、ロシア政府はアメリカに対して激しく反発した。
同月には、ウクライナの子供を連れ去った疑いがあるため、 国際裁判所はプーチン大統領の指名手配と逮捕状を出した。
ロシア本土領内攻撃の本格化
5月3日にはプーチン大統領暗殺を狙った攻撃型のドローンがクレムリンに侵入し、ロシア軍のレーダーで無力化、クレムリンの一部の屋根が炎上した 。ロシア政府はウクライナ軍事による攻撃と見られると発表したものの、ウクライナ側は関与を否定した。
5月23日、ウクライナ領内から自由ロシア軍団(パルチザン)と名乗る組織がロシア領内のベルゴロド州及びクルスク州へ侵攻し、ドローン攻撃や破壊活動が行われ、ロシア軍と大規模な地上戦が繰り広げられた。
また、ロシアはウクライナによる直接的な攻撃と断定したが、ウクライナ側は関与を否定した。攻撃によってベルゴロド州内で民間人の負傷者と死者が発生した。
アメリカ合衆国は「ロシア領内への攻撃及び侵攻は奨励しない。」と発言したものの、ミラー報道官は「戦い方はウクライナ自身が決めるべき」とし、直接的なロシア領内への攻撃の批判や拒否は避けた。
5月30日、首都モスクワは複数のドローン攻撃を受け、住宅などへの被害と民間人の負傷者が発生した。ロシア政府はウクライナ軍によるテロ行為と断定したが、ウクライナ側は完全否定した。
度重なるロシア領内への攻撃に沈黙を続けていたプーチン大統領はモスクワ攻撃を受け、始めて声明を出し、ウクライナ政府に対して強い言葉で不満と批判を繰り返した。
6月2日にはスモレンスク州の燃料施設が、西部クルスク州でも、ビルなどの民間施設が、西部ブリャンスク州内の村がウクライナ軍と思わられる組織に攻撃を受けた。
ワグネル・グループによる武装蜂起とロシアへの攻撃
2022年後半から、ウクライナ侵攻や他の紛争地域でロシア軍などと行動してきたロシアの民間軍事会社ワグネル・グループとロシア国防省(ロシア連邦政府)との関係が急激に悪化した。
ワグネル・グループの創設者であり、ワグネル兵のリーダー格であるエフゲニー・プリゴジンは、ロシア国防省のセルゲイ・ショイグ、ワレリー・ゲラシモフのウクライナ侵攻における無能さを連日批判した。
プリゴジンはプーチン大統領のシェフと言われるほどの友好関係があったものの、ワグネルの拠点をロシア軍が攻撃し、多数の死者が発生したことにより、2023年6月には異例のプーチン批判を行った。
翌日、プリゴジンは攻撃されたことに対して、報復宣言をし、ロシア連邦政府に対して武装蜂起を発表、ロシア軍への攻撃を開始。ヴォロネジ州やロストフ州の各地で銃声や黒煙、ロシアの石油施設の爆破、ロシア国防省の司令部やロシア領内の空港なども戦車や重装備の兵士を使い軍事的に占拠、プリゴジンはモスクワへの進軍を行なった。
プーチン大統領は、ワグネル・グループとプリゴジンを裏切り者と批判した。ワグネルによるモスクワ進軍が、想定以上に早く、ロシア領内の各地でワグネル兵とロシア軍との地上戦も実際に行われたことから、同日にはモスクワ市内は外出禁止令を発令し、モスクワ内でのロシア軍とワグネル兵との戦闘に準備を行った。
長期政権
2024年ロシア大統領選挙ではプーチンが5選された。
政治
国政では連邦制、共和制、半大統領制をとっている。国家元首であるロシア連邦大統領がおり、三権である
- 立法:ロシア連邦議会は両院制で、連邦院(上院)と国家院(下院)がある
- 行政:大統領は連邦政府議長(ロシアの首相)、副議長などを指名し、議長は議会の承認が必要
- 司法:憲法裁判所、最高裁判所、地方裁判所などがある
は分立している。
大統領
ロシア連邦大統領は国家元首で、国民の直接選挙で選ばれる。ソ連崩壊に伴う独立・独立国家共同体(CIS)への加盟構成以降、大統領の任期は4年であったが、2008年の憲法改正によって6年となった。
行政
行政権は、ロシア連邦政府に属する。なお、大統領は外交と国防を、政府は内政を担当するとされている。
大統領は、連邦議会の同意を経て、政府の長である連邦政府議長(首相に相当する)を信任し、連邦政府議長の提案に基づいて、その他の閣僚を任命する。
なお、連邦政府議長は、副大統領としての地位を兼ねており、大統領が欠け、または大統領に職務遂行上の故障がある場合においては、大統領の職務を代行する。
行政権の行使について、連邦政府は連帯して、大統領と連邦議会に対して責任を負う。よって、法律、大統領令、及び連邦政府の定める政令には、連邦政府議長及び主任の閣僚の副署を必要とする。
大統領は、閣議を主宰することができる。
大統領は、国家の基本的な施政方針を定め、連邦政府の助言と同意に基づいて、憲法および法律の定めるところにより、大統領令を発動する。
連邦政府は、憲法、法律、および大統領令の実施に関する詳細、および大統領の判断を必要としない事項についての決定を行い、連邦政府議長は、閣議に基づいて行政各部を指揮監督する。
憲法、法律および大統領令に違反する連邦政府の命令、決定及び処分は、大統領が取り消すことができる。
大統領は、(戦前日本の官選知事に相当する)を任命する。
大統領全権代表は、連邦管区を統括し、国家の政策を画一的・統一的に遂行する上で必要となる事項について、地方政府の活動を統督する。
大統領は、国家安全保障会議を主宰し、国防および治安維持に関する基本的な方針を定め、ロシア連邦軍及びロシア国家親衛隊を統帥する。
立法
ロシア連邦議会(Федеральное Собрание Российской Федерации, Federal'noe Sobranie Rossijskoj Federatsii)は二院制で、各連邦構成主体の行政府と立法府の代表1人ずつからなり、上院に相当する連邦院(連邦会議、Совет Федерации, Sovet Federatsii 、定員178名)と、下院に相当する国家院(国家会議、Государственная Дума, Gosudarstvennaja Duma 、定員450名)からなる。下院議員は任期4年で、小選挙区制と比例代表制により半数ずつ選出される仕組みであったが、2005年4月23日完全比例代表制に移行する選挙制度改正が下院を通過した。また、5パーセント条項が7パーセント条項へと議席を獲得するためのハードルが上げられ、ウラジーミル・プーチン政権、シロヴィキに有利な選挙戦が展開された。また、大統領と同様に2008年に任期が5年に延長された。
司法
ロシアの司法には、最高位に、ロシア最高裁判所、がある。その下に、地域裁判所がある。裁判は大陸法型である。行政府からの訴追は司法省が担当する。1996年に陪審制を連邦各地に順次導入することを決定、2010年までにすべての地域で導入された。
1996年[いつ?]から死刑の執行を停止していたが、2009年11月19日に、憲法裁判所は死刑の廃止を規定している欧州人権条約を批准するまでは死刑の執行を停止するという命令を出した。この憲法裁判所の命令で、ロシアの死刑制度は事実上廃止された。2010年1月15日、ロシア下院は、欧州人権条約第14追加議定書を賛成多数で批准し、名目上も死刑が廃止された。
政党
複数政党制を採用しており与党統一ロシアが圧倒的多数を占めており、他にも野党として極右のロシア自由民主党や極左のロシア連邦共産党などをはじめ様々なリベラル派や中道派、民族主義・愛国主義、社会主義・共産主義を活動理念に掲げる政党が存在する。しかし、これらの政党はいずれもプーチン政権に従順な「体制内野党」とされており、野党としての機能は喪失しているという指摘がある。
国際関係
この節の加筆が望まれています。 |
ロシア連邦政府は1990年代まで続いたソビエト連邦の正式な後継政権で、国際連合では安全保障理事会の常任理事国5か国の一つでもあり、その他国際組織でソ連の持ち分を引き継いでいる。国際関係は多面的であり、世界の191か国と関係を持ち、大使館を144か所置いている。国際関係の方針は大統領が決め、具体的には外務省が執行する。
かつての「超大国」を引き継いではいるが、現在の多極体制へ移行した世界の中でその立場は専門家の間で様々に議論されており、列強ではあるが「潜在的な超大国」扱いである。ロシアは「中東カルテット」のひとつで、北朝鮮問題では「六者会合」に参加している。欧州安全保障協力機構(OSCE)、アジア太平洋経済協力(APEC)の一員である。1997年には「人権と基本的自由の保護のための条約」を批准している。ロシア連邦の発足当初は米国とも北大西洋条約機構(NATO)とも友好的であったが、現在は様々な分野で対立が顕著である。
21世紀になってからは、豊富な原油や天然ガスなどエネルギー資源を梃子に、特に欧州と中央アジアに対し、急速に影響力を拡大している。ソ連崩壊後の弱体性から比較すると相当影響力を取り戻したといえ、豊富な資金力を背景に軍備の更新を進めており、ロシア政府との協議なしに、ソ連の衛星国であった東欧諸国へのミサイル防衛基地の展開を進めている米国やNATOとの緊張状態は高まりつつある(新冷戦)。
前述の通り、2022年2月に始まったウクライナ侵攻が、擁護する一部の国を除き世界各国から強烈な批判を招き、多くの国・組織から経済・金融などの制裁を受けることとなり、国際的に孤立状態となっている。
ロシアが欧米から批判されている問題の一部に、同国における人権問題、自由でない(メディア)、LGBT禁止問題、ノビチョクなどがある。
ウクライナ
2022年にロシアとウクライナとの間で軍事的緊張が高まり、ロシアがウクライナへ侵攻を開始した。これにより外交関係は断絶した。
イタリア共和国
国土の四方を全てイタリア共和国内領土で囲まれたサンマリノにおいて、2020年9月4日に世界で最初に承認・認可された『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン』である(危篤状態の重症羅患者も2度目の接種で全回復し、ワクチン有効性は1回目の投与で79.4%、2回目の投与で91.6%に達する)『Sputnik V(Gam-COVID-Vac)』ワクチン大規模接種実施、(2021年3月4日から新規感染者ゼロおよび2021年4月27日以降死亡者ゼロを達成、『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)』影響下から完全に脱却するまでの間)イタリア半島以外からも新型ワクチン接種のためにサンマリノ観光の名目で訪れる旅行者たちが急増した。
この節の加筆が望まれています。 |
南アフリカ
南アフリカ共和国は、ソ連と公式の外交関係を結んでいたことから後継国のロシアと深い関係性を持っており、1992年2月28日付で完全な外交関係を樹立している。南アフリカはBRICSの1国として加盟。
この節の加筆が望まれています。 |
キューバ
キューバとはソ連時代から緊密な協力関係を築いており、ソ連崩壊以降も外交関係を維持している。ロシアが2014年3月にウクライナ領クリミア半島の併合を宣言した際、キューバは同半島をロシアの一部として承認している。
この節の加筆が望まれています。 |
ブラジル
ロシアはブラジルと、宇宙・軍事技術をはじめ、電気通信などの分野でパートナーシップを結んでいる。ブラジルはBRICSのメンバーでもある。
この節の加筆が望まれています。 |
中華民国
2022年2月に発生したロシア連邦軍によるウクライナ侵攻に伴い、台湾も対ロシア半導体輸出規制を表明、台湾からロシアおよびベラルーシへ輸出できる半導体は性能に制限が設けられ、PS2のCPU「Emotion Engine」(動作周波数150MHz・演算能力6.2GFLOPS)を下回る性能「動作周波数25MHz・演算能力5GFLOPS」低級・低性能の西暦2000年の技術水準の骨董品級CPUしか許可されなくなった(西暦2000年の技術水準の骨董品級CPUしか許可されなくなった理由は、ロシア連邦にて2022年前半時点で完全自国内大量生産可能な半導体は「半導体素子製造の材料であるシリコンウェハー製造技術は『300mm(12インチ〉』サイズで2011年水準/半導体微細加工技術は『65nmプロセス・ルール』で2007年水準」、65nmプロセス半導体技術を基盤とした「汎用用途・65nmプロセス半導体・4コアCPU『Elbrus-4S』〈総トランジスタ数:9億8600万個/動作周波数800MHz×4コア/総合演算能力25GFLOPS:演算能力6.25GFLOPS×4コア〉」。完全自国内大量生産可能レベルの半導体製造技術水準で停滞しているため)。
※「中華民国の半導体輸出規制案件」に関しては中華民国・行政院・経済部 2022年5月6日公式発表『Types of strategic high-tech commodities, specific strategic high-tech commodities and exportation to restricted regions』および中華民国・行政院・経済部・国際貿易局 2022年4月6日公式発表『MOEA Announces Expansion of Export Controls on Russia』の公式サイト英語版を参照しました。
この節の加筆が望まれています。 |
日本
両国の間では経済的な交流がいくつかあるが、過去のシベリア抑留・北方領土問題・それに起因する漁民銃撃と拿捕事件、資源問題(サハリン2)なども生じており、その関係はあまり良くない。その上でロシア人の日本に対する信頼は、アメリカやイギリスに対する信頼よりも高いという調査結果がある。
なお、ロシア連邦領内では、2021年4月26日、ロシア連邦・北西連邦管区・レニングラード州・州都サンクトペテルブルク・クラスノグヴァルデイスキー地方裁判所の公式見解により、ロシア連邦法第242条「ポルノグラフィーの違法頒布」/ロシア連邦行政違反法典第6.17条「児童の健康および発育に有害な影響を与える情報からの児童の保護に関する連邦法」の規定を破る行為に抵触する日本の漫画・アニメは「公序良俗に反する」として規制されている。
国家 | 信頼できると回答した割合 |
---|---|
中国 | 25% |
日本 | 9.9% |
インド | 9.6% |
ドイツ | 4.6% |
イタリア | 4.5% |
フランス | 4.1% |
その他 | 15.3% |
どの国も信頼しない | 27.0% |
2017年のイギリスBBCの調査によると、ロシア人は日本に対して好意的な見方をしているが、日本の内閣府の日本国民の対ロシアの世論調査(2022年)によれば、ロシアに「親しみを感じる」とする者の割合は13.1%(「親しみを感じる」1.3%および「どちらかというと親しみを感じる」11.8%)に留まり、「親しみを感じない」とする者の割合は86.4%(「どちらかというと親しみを感じない」48.9%および「親しみを感じない」37.4%)に達している。この数値は中国(「親しみを感じる」20.6%、「親しみを感じない」79.0%)をも下回っている。
※2024年5月度のロシア連邦領内労働者給与水準における1人当たりの平均月収は951アメリカ合衆国ドル(2024年8月16日世界標準時21時時点の為替レートで約14万349円)であり、2024年5月度の日本国内労働者給与水準における1人当たりの平均月収1906アメリカ合衆国ドル(2024年8月16日世界標準時21時時点の為替レートで約28万1287円)の約50%の収入であり、生活費などを考慮すると、ロシア人が稼ぐために日本に来る理由はない(注記:ロシアおよび日本の労働者給与水準における1人当たりの平均月収に関しては“CEIC Global Database”公式英語版サイトを参照した)。
在ロシア日本国大使館
駐日ロシア大使館
中国
中華人民共和国とは2001年に中露善隣友好協力条約を結び、東シベリア・太平洋石油パイプラインの支線も大慶油田へ引いている。その傍らでBRICSや上海協力機構での関係も深めており、良好な間柄となっている。
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インド
インドとは大幅な防衛・戦略上の関係(India–Russia military relations)を結んでおり、インドはロシア連邦製兵器の最大の顧客である。
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マレーシア
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サウジアラビア
ロシアとサウジアラビアの両国は「石油超大国」と呼ばれており、世界の原油生産の約4分の1を占めている。
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国家安全保障
ロシア連邦軍
ロシア連邦軍にはロシア陸軍、海軍、航空宇宙軍の3軍種があり、これとは別に独立兵科として、戦略核兵器を運用する戦略ロケット軍と、空挺軍がある。
2017年には約100万人が軍に属しており、これは世界で第5位である。これに加えて、約250万人の予備役(在郷軍人)がおり、動員可能総数は約2,500万人に上るともいわれている。18歳から27歳の国民男子は全て1年間の兵役義務がある。
核兵器
ロシアは世界で最大の核兵器(Russia and weapons of mass destruction)を所有し、世界2位の規模の弾道ミサイル潜水艦(Ballistic missile submarine)部隊や戦略爆撃機部隊がある。
ICBM「サルマト」と「死の手」
2018年にウラジーミル・プーチンが年次教書演説で紹介し、2021年ごろから配備を開始した大陸間弾道ミサイル(ICBM)「サルマト」は、10発でアメリカの全国民を殺害する威力があるといわれる。射程は1万1000キロメートル超、最大16個の核弾頭が搭載可能なMIRV式で、最大速度はマッハ20の極超音速であるため、アメリカや日本のミサイル防衛網は無力化される。このサルマトには、極超音速滑空体「アバンガルド」が搭載され、高度100キロメートルほどの高度を、探知しにくい軌道をマッハ20で飛行する。ロシアには1985年に、敵国からの核攻撃を想定し、確実に報復攻撃を行えるようにするための「死の手」と呼ばれる核報復システムが稼働しており、幾度も改良を重ね、運用開始当初は人間が発射ボタンを押す必要があったが、現在はAIが司令部の非常事態を認識し、核使用の判断を下すシステムとなっている。
レーザー兵器
2023年12月現在、「クズネツォフ・NK-36ST:モジュラー設計式ガスタービン型発動機」(定格最大出力25メガワット/エンジン寿命10万時間)を搭載した(大気圏内有効射程範囲3,000キロメートルおよび高度1,500キロメートルの衛星軌道上の軍事衛星を無効化できる)移動車両型3.8メガワット級高出力レーザー兵器システム「ペレスヴェート」を6基保有している。なお、レーザー発振方式には「全ロシア実験物理学科学研究所(RFNC-VNIIEF)開発/ロシア科学アカデミー分光研究所直轄・Avesta Project社製造」の「DPSS(diode-pumped solid-state)レーザー」を採用している。
軍需産業
ロシアでは軍需産業が盛んである。軍事関係の世界的な供給者としては、2001年には世界の30パーセントを占め、80か国へ輸出しており、世界でも上位にあった。ストックホルム国際平和研究所の調査では、2010年 - 2014年には世界第2位の輸出国で、2005年 - 2009年に比して37パーセントの増加を示した。ロシアは56か国および(東部ウクライナの反乱部隊)へ武器を供給した。
準軍事組織と民間軍事会社
ロシアには正規軍以外で、以下の準軍事組織が存在する。
- 国家親衛隊
- 国境軍
- 民間防衛軍
- 連邦警護庁
ロシアはソ連時代からの伝統として特殊部隊(スペツナズ)を重視しており、軍所属以外に後述する情報機関も以下の実戦部隊を擁している。
- ザスローン部隊:ロシア対外情報庁所属
- アルファ部隊、ヴィンペル部隊:ロシア連邦保安庁特殊任務センター所属
民間軍事会社(PMC)が複数設立され、ロシアのその周辺のほか中東、アフリカに傭兵として派遣されている。ワグネル・グループが最も有名であり、オープン・ソース・インテリジェンス(OSINT)企業「モルファー」が把握したPMCは、ロシア国防省系や連邦保安庁系、国有企業・富豪が設立した会社を含め37あり、ウクライナの英字新聞『キーウ・ポスト』によると、そのうち25社がウクライナ侵攻に参加している。PMCはロシアの法律に本来反するが、戦死者に対してロシア政府が責任を負う必要がないといった利点から、全社が政府と関係を保って活動しているとみられる。
諜報・防諜
現在、連邦保安庁(FSB)と対外情報庁(SVR)がサイバー攻撃への防衛などをはじめとして、国内の防諜・情報機関や治安組織としての役割を担っている。
他には連邦警護庁、参謀本部情報総局(GRU)、参謀本部軍事測量局が存在しており、連邦の安全保障に欠かせない重要部署として機能している。
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地理
世界最大の面積を持つロシアは、ユーラシア大陸の北部にバルト海沿岸から太平洋まで東西に伸びる広大な領土を持つ。その面積は日本の約45倍、アメリカの約1.7倍にも達し、南アメリカ大陸全体の大きさに匹敵する。
北辺は北極圏に入り人口も希薄であるが、南辺に近づくと地理的に多様となり人口も多くなる。ヨーロッパ部(ヨーロッパロシア)とアジア部(アジアロシア)の大部分は広大な平原で、南部のステップから北は、広大な針葉林の森であるタイガがその大部分を占めている。さらに高緯度になると、樹木が生育しないツンドラ地帯となる。黒海とカスピ海の間の南の国境にはヨーロッパ最高峰(カフカス地方をヨーロッパに含めた場合)のエリブルース山を含むカフカース山脈があり、ヨーロッパとアジアの境界にはウラル山脈がある。
面積を見るとヨーロッパ部よりアジア部の方が広大であるが、国土の西端に当たるヨーロッパ部に人口や大都市、工業地帯、農業地帯が集中していることなどから、ロシアをヨーロッパに帰属させる分類が一般的であるとされる。
国土を囲む海域には北極海の一部であるバレンツ海、白海、カラ海、ラプテフ海、東シベリア海と、太平洋の一部であるベーリング海、オホーツク海、日本海、そして西のバルト海と西南の黒海があり、海岸線は3万7,000キロメートルに及ぶ。これらの海に浮かぶロシア領の主要な島には、ゼムリャフランツァヨシファ、ノヴァヤゼムリャ(米国を越える史上最大規模の核実験が行われた)、セヴェルナヤ・ゼムリャ諸島、ノヴォシビルスク諸島、ウランゲル島、サハリン(樺太)、そして日本との領土問題を抱えるクリル諸島(千島列島)がある。特に北極海に面した地域をはじめ、冬季は北極寒波の影響が強いため厳寒であり、氷点下を下回る日が長く続く。
ロシア領内の主要な川には、ヨーロッパ部のドン川、大型で良質のチョウザメが多数生息するヴォルガ川、カマ川、オカ川、アジア部のオビ川、エニセイ川、レナ川、サケ類の漁獲で有名なアムール川などの大河が挙げられる。これらの下流域は、日本で大河とされる最上川、北上川や四万十川よりも川幅が広く、いずれもセントローレンス川下流域に近い川幅がある。また、アジア部の大河はアムール川を除いて南から北へ流れ、北極海へ注ぐ。ブリヤート共和国のバイカル湖は、世界一古く水深の深い湖として有名な構造湖である。このほか、ソ連時代の水力ダム建設によって生まれた大規模な人造湖が存在する。
気候
ロシアには基本的に大陸性気候が卓越する。すなわち気温の年較差が大きい。ケッペンの気候区分に従うと、亜寒帯(冷帯)(D) に分類される地域が大半を占める。西部は大西洋の影響を受けるものの、東に進むにしたがって大陸性気候の特徴がはっきりしてくる。冬はシベリア付近で放射冷却のために気温が著しく下がり、優勢なシベリア高気圧が形成される。北半球で最も寒い地域で、寒極と呼ばれる(たとえば、マイナス71.2度〈オイミャコン〉、マイナス66.7度〈ベルホヤンスク〉)。しかしながら、夏季には最高気温が30度を超える。
典型的な植生は北極海沿岸がツンドラ、南に下るにしたがって針葉樹林のタイガ、混交林、プレーリー、ステップに移行していく。
右図はロシアを中心とした地域にケッペンの気候区分を適用したものである。以下、気候区分にしたがって特徴と地域区分を示す。
亜寒帯
- Dfa
- 亜寒帯湿潤気候のうち、最暖月が22度以上の地域。地図では明るい空色で描かれている。黒海とカスピ海に挟まれた狭い地域に広がる。
- Dfb
- 亜寒帯湿潤気候のうち、最暖月が10度以上22度未満であり、月平均気温10度以上の月が4か月以上ある地域。地図では空色(シアン)で描かれている。ポーランドやハンガリーなどの中東欧諸国と共通の気候区分でもある。首都モスクワを含み、ロシア西部からモンゴル国境西端まで広く分布する。沿海州北部やサハリン北部にも見られる。モスクワの年平均気温は5.3度、1月の平均気温はマイナス7.5度、7月は18.4度、年平均降水量は705.3ミリメートルである。
- Dfc
- 亜寒帯湿潤気候のうち、以下の3条件を満たす地域、すなわち最暖月が10度以上22度未満、月平均気温10度以上の月が3か月以下、最寒月がマイナス38度以上マイナス3度未満。地図ではDfbの北に広がる暗緑色で描かれている。北欧諸国と共通の気候区分であり、ロシア領土に占める面積では最も広い。中央シベリア高原からカムチャツカ半島にかけて一部Dfdに移行している部分以外は、全国にまたがっている。植生はタイガ中心。
- Dfd
- 亜寒帯湿潤気候のうち、3つの条件、すなわち最暖月が10度以上22度未満、月平均気温10度以上の月が3か月以下、最寒月がマイナス38度未満を満たす地域。中央シベリア高原から東に延びるさらに暗い緑色で描かれている(内部にDwcの領域を含む)。
- Dwb
- 亜寒帯冬季少雨気候のうち、最暖月が10度以上22度未満、加えて月平均気温10度以上の月が4か月以上ある地域。地図では青紫色で描かれている。モンゴル国境から北にかけて広がる。
- Dwa
- 亜寒帯冬季少雨気候のうち、最暖月が22度以上ある地域。地図では薄紫色で描かれている。Dwbと隣接し沿海州に向かって広がる。
- Dsb
- 高地地中海性気候のうち、最暖月が10度以上22度未満、加えて月平均気温10度以上の月が4か月以上ある地域。地図では赤紫色で描かれている。カムチャッカ半島西岸などに見られる。
- Dsd
- 高地地中海性気候のうち、3つの条件を満たす地域。すなわち、最暖月が10度以上22度未満、月平均気温10度以上の月が3か月以下、最寒月がマイナス38度未満。地図では薄赤紫色で描かれている。Dsbに隣接したごく狭い範囲に見られる。地球上でこの地点にのみ見られる気候区である。
その他の気候区
- ET
- ツンドラ気候。地図では薄い灰色で描かれている。北極海沿岸全域に広がる。
- BSk
- ステップ気候のうち、年平均気温が18度未満の地域。地図では黄土色で描かれている。モンゴル西端から北に伸びたごく狭い範囲に加え、カスピ海沿岸に見られる。
- BWk
- 砂漠気候のうち、年平均気温が18度未満の地域。地図ではサーモン色で描かれている。BSkに隣接したごくわずかな範囲に見られる。
- Cfa
- 温暖湿潤気候。黒海沿岸の狭い地域に見られる。
地方行政区分
連邦構成主体
ロシア連邦は、89の連邦構成主体と呼ばれる地方行政体からなる連邦国家である。連邦構成主体としては、48の「州」(область oblast')、9の「地方」(край kraj)、3の「市」(連邦市、город федерального значения gorod federal'nogo znacheniya)、24の「共和国」(республика respublika)、1の「自治州」(автономная область avtonomnaja oblast')、4の「自治管区」(автономный округ avtonomnyj okrug)がある。ただし、このうち6つの連邦構成主体(ドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国、ザポロージェ州、ヘルソン州、クリミア共和国、セヴァストポリ連邦市)はウクライナと帰属係争中である。
連邦管区
プーチン政権は、連邦政府の地方への影響力拡大を図り、連邦構成主体とは別に、2000年5月13日に全土を7つに分けた連邦管区を設置した。2010年に北カフカース連邦管区が新設され、現在は8つの連邦管区が存在する。なお、このほか2014年から2016年にかけてはクリミア連邦管区が存在した。連邦管区には連邦大統領の代理人としての大統領全権代表が派遣され、連邦構成主体を監督している。
名称 | 人口(人) | 州都/主府/本部 | 備考 |
---|---|---|---|
中央連邦管区 Центральный федеральный округ | 39,251,950 | モスクワ Москва | |
北西連邦管区 Северо-Западный федеральный округ | 13,952,960 | サンクトペテルブルク Санкт-Петербург | |
南部連邦管区 Южный федеральный округ | 16,498,640 | ロストフ・ナ・ドヌ Ростов-на-Дону | |
北カフカース連邦管区 Северо-Кавказский федеральный округ | 9,972,590 | ピャチゴルスク Пятигорск | |
沿ヴォルガ連邦管区 Приволжский федеральный округ | 29,088,000 | ニジニ・ノヴゴロド Нижний Новгород | |
ウラル連邦管区 Уральский федеральный округ | 12,333,230 | エカテリンブルク Екатеринбург | |
シベリア連邦管区 Сибирский федеральный округ | 17,009,250 | ノヴォシビルスク Новосибирск | |
極東連邦管区 Дальневосточный федеральный округ | 8,131,560 | ウラジオストク Владивосток |
さらに、2004年12月に地方自治体の首長を選挙制で選ぶ方式から、大統領が指名して地方議会が承認するという方式に転換した。事実上の官選化となるこの措置に対し、欧米諸国ではプーチン政権による強権支配が民主主義を脅かすという批判が生じた。
地方自治体の首長(共和国首長・州知事など)や地方議会の選挙は毎年9月第2日曜日に行われており、直近では2023年9月10日に。
主要都市
ロシアには人口100万人を超える都市が15(2021年時点)ある。最大の都市は首都モスクワ(1,260万人〈2021年時点〉)である。続くサンクトペテルブルク(545万人〈2021年時点〉)との2都市が規模としては飛び抜けて大きく、独立したロシア連邦の構成主体(連邦市)としてほかの州や連邦内の共和国と同格となる。ウラル山脈東山麓のエカテリンブルク、チェリャビンスク、シベリアのオムスク、ノヴォシビルスクを除く都市はすべてウラル山脈よりも西側、すなわちヨーロッパロシアに位置する。一方、厳しい気候条件のために長らく人口希薄地域であった極東部や北極海沿岸地域でも、19世紀以降に鉄道・港湾整備や鉱業開発などに伴う都市建設が進み、ハバロフスクやウラジオストクは50万人を超える人口を持つ。
都市 | 行政区分 | 人口(人) | 都市 | 行政区分 | 人口(人) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | モスクワ | モスクワ | 12,582,631 | 11 | ウファ | バシコルトスタン共和国 | 1,135,658 | |||
2 | サンクトペテルブルク | サンクトペテルブルク | 5,452,852 | 12 | クラスノヤルスク | クラスノヤルスク地方 | 1,106,550 | |||
3 | ノヴォシビルスク | ノヴォシビルスク州 | 1,641,654 | 13 | ヴォロネジ | ヴォロネジ州 | 1,076,784 | |||
4 | エカテリンブルク | スヴェルドロフスク州 | 1,508,966 | 14 | ペルミ | ペルミ地方 | 1,062,045 | |||
5 | カザン | タタールスタン共和国 | 1,269,382 | 15 | ヴォルゴグラード | ヴォルゴグラード州 | 1,007,784 | |||
6 | ニジニ・ノヴゴロド | ニジニ・ノヴゴロド州 | 1,252,398 | 16 | クラスノダール | クラスノダール地方 | 953,816 | |||
7 | チェリャビンスク | チェリャビンスク州 | 1,203,547 | 17 | サラトフ | サラトフ州 | 838,056 | |||
8 | サマーラ | サマラ州 | 1,155,859 | 18 | チュメニ | チュメニ州 | 834,134 | |||
9 | オムスク | オムスク州 | 1,154,546 | 19 | トリヤッチ | サマラ州 | 697,440 | |||
10 | ロストフ・ナ・ドヌ | ロストフ州 | 1,142,886 | 20 | イジェフスク | ウドムルト共和国 | 650,223 | |||
2021年国勢調査 |
経済
ロシアは、ブラジル・中国・インド・南アフリカとともに「BRICS」と呼ばれる新興経済国群の一つに挙げられている。IMFによると、2021年のロシアのGDPは1兆5800億ドルであり、世界第11位である。一方、1人あたりのGDPは1万1,163ドルで、首都モスクワと地方の格差もあり、ロシア全体では先進国より低い水準である。中村逸郎は、GDPの約70パーセントを国民の1パーセントである富裕層が持っているとしている。
ソ連解体後、ボリス・エリツィン大統領の主導のもと市場経済化が進められたが、このためにかえって急速なインフレーションを招き、1990年代半ばには経済的に落ち込んだ。その後、成長に転じつつあったが、1997年のアジア通貨危機の影響を受けて1998年に財政危機を招き、再び落ち込んだ。2014年のクリミア併合による欧米からの経済制裁と石油価格の下落により、経済は低迷している。
資源依存の経済
2019年現在、ロシアはアメリカとサウジアラビアに次ぐ世界第3位の原油生産国であり、同時にサウジアラビアに次ぐ世界第2位の原油輸出国である。2003年以来の原油価格上昇によって貿易収支が改善し、市場経済転換後の長い経済停滞を脱し、急速な景気回復が見られた。豊富な地下資源を武器に石油の価格が高いときに成長が続く。その石油産業への依存の重さや自由化の恩恵にあずかった者(オリガルヒ、新富裕層、体制転換の混乱で成り上がったに代表される)とそうでない者の貧富の格差の拡大、チェチェン独立派武装勢力によるテロのリスクなど、不安定要因もいくつかは見られる。
石油価格が高かった2000年にはGDP成長率が10パーセントを越える一方、インフレーションも抑制され、好調が続いた。1人当たり名目GDPも、1999年には1,334ドルに過ぎなかったのが、2006年には6,879ドルと5倍強の増加を見せた。しかし、輸出の6割以上を原油や天然ガスなどの鉱物資源に頼る経済構造となっている、いわゆるモノカルチャー経済である。モーリー・ロバートソンは「石油の値段が世界的に右肩上がりのときはお金がどんどん入ってくるが、原油が安くなるとあっという間に貧乏に転落するという図式」と説明する。
農業
農産物の自給自足にも力を入れており、ロシアは世界における「最大の小麦輸出国」ならびに「米の栽培の北限地」として知られている。米国農務省は、2016年度・2017年度(2016年7月 - 2017年6月)のロシアによる小麦輸出量の推定量を50万トン引き上げ、記録的な2,500万トンとしている。なお、2015年度・2016年度に米国(2,120万トン)とカナダ(2,250万トン)を抜いて世界の主要輸出国となっている。2014年、同国での米生産量は113万8,000トン(うち90パーセントがクラスノダール地方での栽培)で生産量は記録的に高いものとなっている。加えて、米の栽培効率は1ヘクタールあたり7,100キログラムで、ヨーロッパにおいて米を生産する国で知られるスペイン、イタリアに比較しても多いものとなっているうえ、アジア諸国より多い。同国の米はウズベキスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、トルコにも輸出されている。
米国農務省による2021-22年度推計では、ロシアの小麦は生産量が過去最多の8600万トン、輸出量は4000万トンで世界一を維持する見通しである。ソ連時代は大量の穀物を輸入していたが、平坦な国土に農地が広がっており、ロシア経済の安定化に伴い農機や肥料の投入増、畜産の効率向上による飼料に使う小麦の節約で、生産性や輸出余力が高まった。欧米の経済生産による通貨ルーブルの下落も輸出競争力を高めているが、パン価格の上昇に国民が不満を抱くと輸出関税などで国外への出荷を抑えようとする政策も採られている。
飲料水
ウクライナ侵攻に伴う経済制裁発動中のロシアでは、「外国製品⇒国産製品」への代替があらゆる分野で実施されており、炭酸および清涼飲料水も例外ではない。
外食産業
2022年6月12日営業開始のロシアのハンバーガー・ショップ「フクースナ・イ・トーチカ」店舗内の『東欧製インタラクティブ・デジタルサイネージ端末』を利用して商品注文・テイクアウトでき、「前身である旧マクドナルド店舗時代から地元食材率85パーセント」であり、旧マクドナルド店舗時代と同じ味に調整された(一般労働者の昼飯代と同価格帯の)ハンバーガー類の飲食が可能である。なお、「従業員の雇用契約書成立時点から原則2年間は不当な理由での従業員の解雇は労働法違反」となっている。
漁業
ロシア連邦の海岸線は、カナダ、グリーンランド、インドネシアの海岸線に次いで世界4位の長さとなっている。ロシアの漁業の排他的経済水域(EEZ)は760万平方キロメートルで、内陸のカスピ海と200万本以上の河川を加え、3つの海洋と12か所の海への航路が含まれている。なおロシア連邦極東連邦管区沿海地方ナジェジジンスコエ地区に所属する『ナジェジジンスコエ地区・先進経済特区“Nadezhdinskaya Advanced Special Economic Zone(ASEZ)”』はロシア連邦領内最大規模の『スケソウダラ水産加工工場』の拠点である。
工業
2019年10月1日に欧州委員会(EC〈European Commission〉)が「家電製品部品在庫保証期間:最低10年」保証明示義務化を採択 、同条約を批准した(欧州最貧国家群でも完全自国生産可能な)「東欧製格安二級品家電製品群」も「低価格と高品質の両立」を既に達成できていることが明らかとなった。
産業用ロボット
2021年7月16日時点で、ドイツ連邦共和国・欧州最大の応用研究機構「Fraunhofer-Gesellschaft」の合理的思考を手本とする「Rusrobot」傘下の「Robot Factory LLC」が、リバースエンジニアリング技術を用いて「ドイツ連邦共和国KUKA社製造:世界最高水準・高性能産業用ロボットシステム複製品」の完全内製化を実現、「全6軸可動・高性能産業用ロボットシステム」を適正価格で国内製造・販売している。
※ロシア連邦の産業ロボット技術に関しては「Rusrobot」英語版公式サイトを参照しました。
CNC旋盤
産業用ロボット技術と同様、ドイツ連邦共和国・欧州最大の応用研究機構「Fraunhofer-Gesellschaft」の合理的思考を手本とするロシア連邦領内の国産CNC旋盤関連の工作機械メーカー『MEHATRONIKA』が、リバースエンジニアリング技術を用いて旧ソ連時代の「国産CNC旋盤工作機械」をもとに製造した(ブラウン管式表示装置を液晶ディスプレイ式表示装置に改修済み。「液晶ディスプレイはブラウン管と比較して部品点数および作業工程ともに少なく大量生産に向いている」利点が功を奏した)ジェネリック製品の完全内製化を実現、「MNC-SERIES DIGITAL CNC SYSTEM/MTDRIVE-SERIES DIGITAL SERVO AMPLIFIERS/MNC-SERIES CONTROL SYSTEMS SOFTWARE」などのCNC旋盤システムフルセットを適正価格で国内製造・販売している。
※『CNC旋盤』の記載内容作成に際しては、ロシア連邦領内の国産CNC旋盤関連の工作機械メーカー『MEHATRONIKA』公式英語版サイトの情報を参考としました。
自動車産業
2022年5月12日にロシア連邦領内に公布された政令第855号にて、「Euro (European emission standards) -0」なる独自のEU圏内統一排出ガス規制を制定した。「ヨーロッパ各国で製造された電子工学部品を多数使用するABS(アンチロック・ブレーキ・システム)およびESP(Electronic Stability Program)、ついでECU(Engine Control Unit)・エアバックなどの安全システムを不要とし、標準搭載の安全システムは2点式シートベルト(Two point seat belt)および3点式シートベルト(Three point seat belt)に限る」とし、完全に国内で生産可能な1988年レベルの技術のみで構築された新車生産・販売が許可されるようになった。2023年6月時点で、リバースエンジニアリング技術を用いて(「金属造形用途3Dプリンタ」で高い寸法精度の金型を製作、金型鋳造製品であるアルミダイキャスト製ガソリンエンジンである)「直列4気筒DOHC16バルブ・アルミダイキャスト製・トヨタ自動車謹製ガソリンエンジン:『4ZZ-FE(1,400cc)』/『3ZZ-FE(1,600cc)』/『2ZZ-FE(1,800cc)』系統複製品」の完全内製化に成功、2010年水準の小型車および中型車用自動車エンジンを国内製造できるようになり、国産車価格も69万9900ルーブル(2024年1月10日時点の為替レートで113万9656円)の適正価格で販売している。
ディーゼルエンジン
上述の“アルミダイキャスト製ガソリンエンジン”のリバースエンジニアリング作業工程において、(西暦1975年から量産されている)“KamAZ-740系統V型8気筒16バルブ・ディーゼルエンジン”で培った45年以上に及ぶ製造ノウハウの蓄積が直接的な面でも間接的な面でも大いに役立ったとの事。
※『ディーゼルエンジン』の記載内容作成に際しては、ロシア連邦領内の貨物自動車メーカー『Kamaz』公式英語版サイトの情報を参考としました。
航空機産業
航空機製造はロシアの重要な産業部門であり、約355,300人が雇用されている。航空機産業はロシアにおいて最も科学集約的なハイテク分野の一つであり、数多くのプロフェッショナルたる人材を雇用している。ロシアの航空機産業は、MiG-29やSu-30などの国際競争力のある軍用機のポートフォリオを提供している一方、スホーイ・スーパージェット100およびTu-214などの新しい開発計画が民間航空機部門の運命を復活させることが期待されている。2009年、ユナイテッド・エアクラフトに属する企業は、15機の民間モデルを含む95機の新しい固定翼機を顧客に納入した。さらに、業界は141機以上のヘリコプターを生産している。軍用機部門の生産と金額は他の防衛産業部門をはるかに上回り、航空機製品は国の武器輸出の半分以上を占めている。
2023年8月12日、「統一航空機製造会社」(United Aircraft Corporation)所属の技術主任の説明によると、「外国の潜在的な顧客の要望に応じて、ロシア連邦国内でモスボール保管している300機以上のロシア連邦国内規格型『MiG-29 ファルクラム』をマルチロール戦闘機『MiG-35 スーパー・ファルクラム』に大幅近代化改修して、1機当たり10億ルーブル(2023年12月12日時点の為替レートで、アメリカドルで1094万ドル/日本円で15億9820万円)の低価格で輸出可能である」とのことであった。また、AESAレーダーへの更新を行った海外向け輸出型「MiG-35 スーパー・ファルクラム」に搭載されるデジタル電子制御式「Klimov RD-33MKM」アフターバーナー付ターボファンエンジンの双発推力は、アフターバーナー使用時には9.5トン(93kN)×2基(合計推力19トンで機体最大荷重は10Gに達する)。「ファゾトロン(NIIR)」開発の「輸出型Zhuk-AE(FGA-35)・AESAレーダー(Xバンド周波数/シリコン製パワー半導体素子×1016個)」標準装備となっている。なお、オプション装備として「ロシア連邦国内規格型Zhuk-AME(FGA-50)・AESAレーダー(Xバンド周波数/ガリウム砒素製パワー半導体素子×1148個)換装」および「推力偏向ノズル(TVC)装備」も可能。将来的には(既に開発完了で後は量産するだけの状態まで移行している)アフターバーナー使用時には単発推力11.5トン(112.78kN)を誇るデジタル電子制御式「Klimov VK-10M」アフターバーナー付ターボファンエンジン換装も可能。さらに技術主任の説明によれば、「『MiG-35』の『IMA(Integrated Modular Avionics:統合モジュラーアビオニクス)』は機体に搭載された複数のセンサーの情報を統合、機体からおよそ130キロメートル離れた遠距離に位置するステルス戦闘機『F-22 ラプター』を捕捉可能であり、さらにパイロットに音声会話型エキスパートシステム『Rita』が最適化された情報を音声にて説明する」とのことであった。
宇宙産業
ロシアの宇宙産業は100社以上の企業で構成され、25万人が雇用されている。
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半導体素子製造装置産業
2008年頃に台湾・TSMC社と共同で22nmプロセス以降の微細加工技術の実用量産化を研究していたモスクワの半導体露光装置(ステッパー)メーカー「Mapper LLC」にて、2023年現時点では一品一様・試験的少量生産状態である「汎用用途・16nmプロセス半導体・16コアCPU『Elbrus-16S』(総トランジスタ数:120億個/動作周波数2GHz×16コア/総合演算能力1500GFLOPS:演算能力93.75GFLOPS×16コア)」 /ダウングレード版「汎用用途・16nmプロセス半導体・9コアCPU『Elbrus-2S3』(CPUコア×2+3D・GPUコア×1+2D・GPUコア×2+VPUコア×4)」 /「汎用用途・16nmプロセス半導体・48コアCPU『Baikal-S Processor』(BE-S1000)」などの「16nmプロセスルールの半導体チップ」の完全国内製量産技術確立に尽力している。なお2024年6月13日に中芯国際集成電路製造(SMIC:Semiconductor Manufacturing International Corporation)技術指導に基づきダウングレード版“汎用用途・16nmプロセス半導体・9コアCPU『Elbrus-2S3』(CPUコア×2+3D・GPUコア×1+2D・GPUコア×2+VPUコア×4)”完全国内製量産化成功が公式発表、2024年9月24日にはロシア製OS『Aurora(Sailfish Mobile OS RUS)』規格の国産スマホ搭載用CPUとして“汎用用途・16nmプロセス半導体・9コアCPU『Elbrus-2S3』(CPUコア×2+3D・GPUコア×1+2D・GPUコア×2+VPUコア×4)”が選定された旨が公式発表された。
ロシア連邦共和国内の半導体技術は(十年)一昔前の「枯れたプロセス・ルール」である「90nm/65nmプロセス・ルール」レガシー半導体(「legacy」とは「過去に築かれた技術的遺産・遺物」の意味)の完全自国生産レベルには到達しており、外国からのCPU供給が全面停止しても、ロシア連邦共和国内の(自社で設計と製造の両方を手がける製造拠点を構える)半導体製造会社「Mikron」社などの半導体製造施設において、(スマート家電等の「IoT:Internet of Things」端末に搭載可能な)実用アプリケーション・ソフトウェア稼働および産業機械用途組み込み型制御コンピューターなどには、十分な性能の「半導体:産業界のライ麦粉」の完成品たるCPUが代替生産にて維持可能である。
2024年3月26日時点でロシア連邦共和国の半導体チップの量産製造技術は、リバースエンジニアリング技術の積極的活用により「汎用用途・28nmプロセス半導体・8コアCPU『Baikal-M Processor』(BE-M1000)」 /「汎用用途・28nmプロセス・RISC-V実装・半導体・8コアCPU『Elbrus-8SV』(総トランジスタ数:35億個/動作周波数1.5GHz×8コア/総合演算能力576GFLOPS:演算能力72GFLOPS×8コア)」などの「28nmプロセスルールの半導体チップ」の完全国内製量産化に到達したが、「『初期生産ロット分13万個生産済み』の『28nmプロセスルールの半導体チップ』の半数以上が欠陥品であったため、『半導体製造工程に使用する純国産高純度フッ化水素』を製造・販売しているロシア連邦の核燃料製造・供給企業『TVEL』傘下の電気化学プラントJSC『PA ECP』(Joint Stock Company Production Association Electrochemical Plant)に『40nmプロセスルールの半導体チップ』製造工程に使用する『純国産高純度フッ化水素』よりも高純度品のフッ化水素の製造・販売を要望する」とのことであった。さらに、2030年代中葉までの「14nmプロセスルール以降の半導体チップ」である「汎用用途・12nmプロセス半導体・5コアCPU『 Baikal-L Processor』(CPUコア×4+GPUコア×1)」 /(「5nmプロセスルールの半導体チップ」から「7nmプロセスルールの半導体チップ」の中間の技術水準である)「汎用用途・6nmプロセス半導体・128コアCPU『Baikal-S2 Processor』」の完全国内製量産化を目指している。
産業機械用途組み込み型制御コンピューター
2024年6月時点で、2024年度前半に完全内製国内実用量産化に成功した28nmプロセス半導体である“汎用用途・28nmプロセス半導体・『Baikal-T』(BE-T1000)”及び“汎用用途・28nmプロセス半導体・『Elbrus-8S』”等のCPUは(西暦1997年創立の)ロシア連邦領内の総合電子機具製造・開発メーカー『Fastwel』の産業機械用途組み込み型制御コンピューター『Baikal-T1 1.2 GHz MIPS32 (Dual Core) Based Modular Computer』及び『2U Elbrus-8S CPU-Based High-Performance Fanned Brusnika Industrial Computer』の半導体演算処理装置のCPUとして完全国内大量量産されている。
※『産業機械用途組み込み型制御コンピューター』の記載内容作成に際しては、ロシア連邦領内の総合電子機具製造・開発メーカー『Fastwel』公式英語版サイトの情報を参考としました。
軍産複合体/軍需(防衛)産業
ロシアの軍産複合体は、基本として十月革命後の国家近代化を確実にしたソ連時代のものから引き継がれている。ロシアの国営企業であるの代行企業によって販売されているSu-27などの製造兵器は、輸出で大きな成功を収めている。
ロシアにとって軍需(防衛)産業はソ連時代から重要な地位を占めており、輸出額は2011年に100億ドルを超え、2012年には150億ドルを超えるとされ、順調に推移している。民間転用も積極的に行っており、宇宙・航空・情報通信産業など多岐にわたる。しかし、政治的な理由で輸出ができなくなるなど不安定な要素も含んでいる。それにもかかわらず、ロシアを含め世界の軍事費は今後も増え続けるとされ、軍需産業は拡大を続けるとされている。
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IT産業
IT市場は、ロシア経済における最も動的な分野の一つとなっている。ロシアのソフトウェア輸出は、2000年のわずか1億2,000万ドルから2010年の33億ドルまで増加している。
モバイルOS
フィンランドのJolla Mobile社とライセンス契約を締結、同社の「Sailfish OS」をベースに開発された派生型OS「Aurora(Sailfish Mobile OS RUS)」をロシア国産の携帯端末向けOSの標準規格とする方針を実施している。
スマートフォン
ロシア国内の国産スマートフォンメーカー「INOI」では上述のモバイルOSプラットフォーム「Aurora(Sailfish Mobile OS RUS)」を採用した業務用スマートフォン「INOI R7」を販売、同機種はロシア郵便に納入されている。
鉱業
ロシアはもっとも鉱物資源が豊富な国の一つである。産出量が世界シェア10位以内となる資源だけで20種類におよぶ(以下の統計数値は、経済産業調査会『鉱業便覧 平成14年版』による2002年時点のもの)。
有機鉱物資源では、天然ガス(21,807千兆ジュール、21.9パーセント、2位)、原油(3.5億トン、10.3パーセント、2位)、燃料に用いられる亜炭(8,668万トン、9.5パーセント、4位)、石炭(1.6億トン、4.4パーセント、6位)の採掘量が多い。原油と天然ガスの産出量は1位の国(サウジアラビアと米国)との差が小さく、いずれも2ポイント未満の差にとどまる。このため、統計年度によっては1位となることもある。
これらの有機鉱物資源のうち、国内で消費される比率が高いのが石炭と亜炭(88パーセント)と天然ガス(69パーセント)である。一方、原油の国内消費比率は29パーセントと低く、主に輸出されている。ロシアの原油輸出量は世界第2位(1億6,211万トン、2001年)である。
エネルギー
ロシアはエネルギー資源ならびに天然資源が豊富な国家である。天然ガス埋蔵量は世界最大(確認埋蔵量の18パーセント)で、石炭埋蔵量は世界第2位となっている。天然ガス生産国では世界第2位、石油生産国では第3位、石炭生産国では第6位、そして原子力発電生産国としては第4位である。
石油とガスは2017年に連邦予算の36パーセントを占めた。2016年にはヨーロッパの天然ガス輸入の70パーセント以上がロシアから輸入され、原油輸入の3分の1以上もロシアから輸入された。逆に、ロシアの原油輸出のほぼ60パーセント、天然ガス輸出の75パーセント以上はヨーロッパ向けであった。
ロシアのエネルギー部門は自国経済において支配的な位置を占めており、同時に世界最大規模の部門の一つとして認知されている。
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観光
ロシアは世界有数の観光地として知られている。観光スポットが各地にあり、海外から多くの観光客が訪れている。その中で最も代表的なものとして知られているのは、世界遺産に登録されているサンクトペテルブルク歴史地区と関連建造物群や赤の広場である。
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貿易
ロシア経済に占める貿易の割合は急拡大している。1992年時点では、国民総生産3,978億ドルに対し、輸出が381億ドル、輸入が350億ドルであった。2003年には、国民総生産4,885億ドルに対し輸出は1,260億ドル、輸入524億ドルに増加しており、輸出の伸びが著しい。これは原油および、石油関連の生産・輸出拡大によるものである。ロシアの貿易構造は1992年から2003年までの約10年間で大きく変化してきた。1992年時点ではソ連を構成していた諸国に対する貿易が、輸出で7割、輸入で5割を占め経済ブロックを形成していた。品目では機械と原油、化学工業製品を輸出し、建設機械と軽工業品、食料を輸入していた。ところが、2003年時点では輸出入とも相手国が分散する。原油や石油製品を輸出し、機械や自動車を輸入している。つまり、機械工業の落ち込みと原油輸出の大幅な伸びが特徴といえる。
1992年時点の輸出品の品目別の比率は、United Nations Statistical Yearbook 2003などによると、建築機械(35.0%)、天然ガスを含む原油(14.7%)、化学品(10.6%)、軽工業品(8.1%)、鉄鋼(6.9%)。同輸入品は、建築機械(36.2%)、軽工業品(20.4%)、食料(16.7%)、化学品(7.5%)、鉄鋼(5.0%)。2003年時点の輸出品の品目別の比率は、原油 (27.6%)、石油ガス (13.0%)、石油製品 (10.4%)、鉄鋼 (6.1%)、アルミニウム(2.6%)である。2003年時点の貿易相手国は輸出相手国が順に、オランダ(6.2%)、中国、ベラルーシ、ドイツ、ウクライナ、輸入相手国が順にドイツ(14.1%)、ベラルーシ、ウクライナ、中国、アメリカとなっている。
日本との貿易は順調に拡大している。日本からの輸入額は15億ドルから45億ドルへ、輸出額は28億ドルから62億ドルに伸びている。品目は輸入を中心に変化した。日本への輸出の変化を見ると、1992年時点は魚介類、木材の2品目で5割弱を占め、アルミニウム(アルミニウム合金を含む)、石炭、白金が続いた。これが2003年になるとアルミニウム(アルミニウム合金を含む、22.4%)、魚介類、石炭、木材、原油となった。輸入は、機械類(26.7%)、鉄鋼、電気機械、自動車、プラスチックであったものが、乗用車(62.1%)、建設機械(6.4%)、映像機器、通信機器、バスに変わった。品目が自動車に集中したことになる。
交通
鉄道
ロシア鉄道のシベリア鉄道をはじめとする客車での運転スタイルが基本となるが、エレクトリーチカーなどの例外もある。ロシア鉄道の運行するシベリア鉄道を7日間かけて全線走破する特急ロシア号(ウエラジオストク駅→ヤロフラススキー駅)、同じくロシア鉄道の運行する特急オケアン(太洋)号(ウエラジオストク駅→ハバロフスク駅)などが有名である。
道路
航空
2023年11月1日、高バイパス比ターボファンジェット「PS-90A3M」(単発推力:17500kgf)を4発搭載した大型ワイドボディ旅客機「Il-96-400M」の初飛行に成功、2030年度までに高バイパス比ギヤードターボファンジェット「PD-35」(単発推力:35000kgf)を2発搭載した双発機に改修予定。なお、2024年度中には完全国産化された(高バイパス比ターボファンジェット「PD-8」を2発搭載した)双発短距離旅客機「SJ-100」が量産開始の予定である。
科学技術
ロシアの科学技術は、ピョートル大帝がロシア科学アカデミーとサンクトペテルブルク大学を設立し、博学者ミハイル・ロモノーソフがモスクワ大学を設立した啓蒙時代から急速に発展した。
19世紀から20世紀にかけて、ロシアは多くの著名な科学者を輩出しており、物理学、天文学、数学、コンピューティング、化学、生物学、地質学、地理学などの学系分野に重要な貢献を果たしている。元素周期表のドミトリ・メンデレーエフ、近年ではポアンカレ予想のグリゴリー・ペレルマンなどが著名である。
なお、ロシアにおいて発明家や技術者の存在は、電気工学、造船、航空宇宙、兵器、通信、IT、核技術、宇宙技術などに幅広く影響を及ぼしている。特に、宇宙技術に関しては前身であるソ連まで含めると、最も長い開発の歴史を持つ国の一つである。ソ連時代では、冷戦という形の開発競争でアメリカとともに常に世界を牽引し続けてきた存在であった。また、ロシア連邦移行後もISSの開発などに参加し、人類の技術発展に影響をおよぼしている。
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航空宇宙ならびに宇宙開発
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国民
20世紀のロシアの人口動態は、第一次大戦・干渉戦争期そして第二次世界大戦期と2度にわたって激減したが、その後は回復傾向にあった。しかし、1992年以降再び人口減少が続き、1992年で最大1億4,800万人いた人口が、2050年には1億1,000万人程度まで減少すると見られている。原因には、出生率の低下や男性の平均寿命がきわめて短くなっていることがある。ロシアの男性の平均寿命は1987年以降短くなる傾向にあり、世界銀行の統計によると1994年には57.6歳まで低下した。その後回復し、2017年時点では67.5歳である。女性は、1993年に71.2歳まで低下したが、2017年には77.6歳と上昇、男女差は10歳ときわめて大きいままである。ちなみに2008年、OECD諸国の平均は男性77.2歳、女性82.8歳と男女差は6歳程度である。続いていた人口減少は2012年に止まり、2014年のクリミア併合で人口増加に転じたが2016年の減少に戻り、2020年は約51万人の減少となった。また、出生率も2015年には1.78をピークに上昇したが、2018年時点では1.5人程である。
民族
ロシアには182の民族が住み、移民は約700万人とされる多民族国家である。2010年の統計によると約80パーセントは東スラブ系民族となっており、ロシア人(民族)が全人口の77.71パーセントを占める。同じ東スラブ人のウクライナ人の割合も1.35パーセントと全体の3位となっており、ベラルーシ人やポーランド人を含めたスラブ系全体では82.7パーセントを占める。
テュルク系のタタール人はロシア人に次いで多い民族集団となっており全体の3.72パーセントを占め、バシキール人やチュヴァシ人、トゥヴァ人、アルタイ人、カザフ人、ウズベク人、アゼルバイジャン人、サハ人などのテュルク系民族はロシア全体の8.7パーセントを占める。
コーカサス系で最も多いのがチェチェン人で全体では6位の1パーセントを占め、イングーシ人、オセット人、アヴァール人、アルメニア人、グルジア人などを合わせるとコーカサス系民族はテュルク系に次いで多い3.7パーセントを占めている。
ウラル系はマリ人、モルドヴィン人、カレリア人、ウドムルト人、ネネツ人などで構成され、全体の1.6パーセントを占めている。
そのほか、モンゴル系民族のカルムィク人、ブリヤート人、ツングース系民族のエヴェンキ人、エスキモー系のユピク人、さらに、ユダヤ人やゲルマン系のドイツ人など多くの非スラヴ系民族がいるが、公用語であるロシア語が民族共和国を含め全域でほぼ完全に通用する。
言語
ロシア語が公用語である。ロシアの各共和国の公用語として以下の29言語がある: アバザ語、アディゲ語、アルタイ語、アヴァル語、アゼルバイジャン語、バシキール語、ブリヤート語、チェチェン語、チュヴァシ語、エルジャ語、イングーシ語、カザフ語、カバルド語、カルムイク語(Kalmyk Oirat)、カラチャイ・バルカル語、ハカス語、コミ・ジリエーン語(コミ語)、レズギ語、マンシ語、マリ語、モクシャ語、ノガイ語、オセット語、タタール語、トゥバ語、ウドムルト語、サハ語、ウクライナ語、クリミア・タタール語。
結婚
法律上結婚可能な年齢は成人となる年齢と同じ18歳である。ただし尊重すべき理由があるときはそれ以下の年齢でも認められる場合がある(ロシア連邦家族法典 13条。2017年12月29日改定を閲覧)。
結婚後の姓は夫婦どちらかの姓に合わせる(同姓)、結婚前のまま(別姓)、姓を結合する(二重姓)の3通りあり(家族法典32条)、同姓の場合は妻が夫の姓に合わせることが多い。なおロシア連邦民法典19条により個人の姓・名前・父称の変更は一定の手続きにより可能である。
婚姻登録の申請は特別な事情がある場合を除き、結婚する1か月前までに行う(11条)。宗教やほかの形式での結婚式が行われることもあるが、家族関係や出生・死亡を扱う市民登記機関であるザックス(ロシア語: ЗАГС、ザークスなどとも表記)にある結婚式場で婚姻の署名などを式典形式で行う結婚式がよく行われる。これはソビエト連邦時代からのものである。
ロシアでは同性結婚は違法となっており、2020年以降、同国憲法においても同性結婚を明示的に禁止している。
宗教
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